第32話 大好き。2
「それで……どうやって誘えばいいと思いますか?」
「いやいや待てコラ」
「ん?どうしました?」
柚子ちゃんを飯に誘うだと。柚子ちゃんはまだ新人だからこいつとシフトが被らないようにしていたんだが……いつの間に仲良くなったんだ。
「その、いつから柚子ちゃんのことが好きになったんだ?」
「……一目惚れです」
…………。なるほど。なるほど。若いっていいなぁー。青春してやがるな……。これは大人の男としてちゃんと応援してあげないとな……。
「でも柚子ちゃんはお前の事きもいって言ってたぞ」
しかしその恋、全力で阻止させてもらう。
「え……本当ですか!?」
「本当、本当。なんか身長高くてキリンみたいできしょいって言ってたよ」
「柚子ちゃん……」
「可哀そうだが、柚子ちゃんはお前の事が嫌いみたいだ。まあその元気だせよ。今度バナナでも買ってやるよ」
「そんなに僕のことを考えてくれてたなんて……」
「は!?」
「メールアドレスは以前聞いたんで、今度メールして誘ってみようと思います!」
「いやいや待て待て!柚子ちゃんはお前のこと嫌いって――」
「好きと嫌いは表裏一体と聞いたことがあります!つまり今がチャンスっていうことですよね!」
「違う違う!それは間違った知識だ!」
「店長相談に乗ってくれてありがとうございました!また、何かあったら報告しますね!」
「何かって一体何だ!!!」
…………これはとんでもないことになってしまった。