第31話 大好き。
「店長ってあかっちのこと好きなんですか?」
「なんでそうなるんだ」
今日のシフトは馬鹿男と一緒だ。急に何言い出すかと思ったら本当に検討違いのこと言ってくる。こいつと一緒に仕事するの怖い。
「いや、そうじゃないのかなと思いまして」
「とりあえずお前は頭おかしいから床掃除しろ」
「ちょっと待ってください!床掃除って何ですか!?」
「つっこむとこそこじゃないし、本気で今お前をクビにしようかと思ったぞ」
こいつ記憶力やばすぎだろ。ついに唯一活躍できる場すら忘れてしまったのか。もう人としてやっていけるか心配になるレベルだ。
「クビとかはどうでもいいんです」
「どうでもいいのかよ」
「それでどうなんですか?好きなんですか?」
「んなわけねーだろ」
「でも最近よくあかっちとご飯に行ってますよね」
「ああ……」
たしかに何かとあいつに借りができてしまい、一緒に飯に行く機会が多い。いやいや、だからと言ってなんで好きとかそういう話になんだよ。
「これは予想なんですけど、店長はあかっちに好意があってよくご飯に誘っているんじゃないのかなと思いまして」
「へえー」
「好きな人とは少しでも長く一緒にいたいってよく言うじゃないですか」
「あーそうだなー」
もう真面目に答えるのが面倒になってきたので適当に聞き流す。
「いいですよね。好きな人と時間を共有するって」
「おうーそうだなー」
「それで何ですけど、店長を見習って柚子ちゃんをご飯に誘おうと思うんです」
「へーそうなのか…………はぁ!?」