第29話 うさぎ。
深夜のコンビニは変な客がよく来る。
「ぴょんぴょん!」
「えっと……お客様……?」
「ぴょんぴょん!」
「えっと……あの……日本語でお願いします……」
目の前にはうさぎの耳を付けたゴスロリ少女がいた。何こいつ。新手の柚子ちゃん?もうそういう言語通じない系キャラは被ってるから全然求めてないよ?
「私日本語喋れないぴょん!」
「い、いや。喋れてますよ」
「これは違うぴょん!うさぎ語だぴょん!」
「は、はぁ……」
「うさぎ語喋ってる私めっちゃ可愛いぴょん!」
あー。久しぶりにマジでやばい客に遭遇してしまった気がする。
「それで……どのようなご用件で」
「にんじんがほしいぴょん!」
「あー……にんじんですか……」
「そうぴょん!にんじん求めてる私めっちゃ可愛いぴょん!」
「えっとあの……うちの店、野菜は置いてないんですよね……」
「ありえないぴょん!!!にんじん置いてないとかコンビニじゃないぴょん!」
「申し訳ございません……」
コンビニ何だと思ってるんだ。
「めっちゃムカつくぴょん!ツイッターで店員の接客悪いって拡散するぐらいムカつくぴょん!」
「申し訳ございません……」
「もういいぴょん。にんじんは諦めるぴょん」
「申し訳ございません……」
「フライドチキン食べるぴょん」
「…………かしこまりました」
このうさぎさん、お肉がっつり食べられるんですね。