第26話 ふぇー。8
「あのさ、柚子ちゃん」
「ふぇ?」
「質問なんだけどさ」
「ふぇ?」
「もしかしてわざと俺にふぇーって言ってる?」
「ふぇ???」
うーん……なんでさっき会話できたんだろう。
反応的にわざとふぇーって言ってるのかなって思ったんだが……どうやら違うらしい。うーん。謎は深まるばかりだ。だれか名探偵の方がいたら今すぐ俺に教えて。
それにしても柚子ちゃんと普通に会話する方法は何かないのだろうか。しばらく考えてみる。
……待てよ。紙に文字を書いてやりとりをすれば、会話することができるかもしれない。やってみなければわからないがこれならうまくいく気がする。
さっそくお客さんが捨てたレシートの裏を使い、メッセージを書いてみることにした。
『ねえねえ、柚子ちゃん』
俺なにしてるんだろう感が凄いが、書いたものを柚子ちゃんに見せてみた。
やりたいことを理解してくれたのか、柚子ちゃんはメモ帳を取り出し、何かを書き始めた。
これで内容がふぇーだったら、コミュニケーションを取るのが、かなり厳しくなるわけだが……。
『どうしました?』
おお。上手くいってる!めっちゃ嬉しい。海外に行って話が通じた時の喜びはきっとこんな感じなんだろう。これならコミュニケーションを取ることができそうだ。
『わざと俺にふぇーって言ってる?』
初めてまともに会話ができたので、さっきの質問をそのまま書いてみることにした。
ついにふぇーの謎が解ける日がくるか。
『ふぇ?』
……なんとなく予想はしてたよ。