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第230話 どっち。
「……要するにハゲの話を整理すると、柚子ちゃんは辞めたいと思って退職届を書いてきて渡そうとしてきた……ってことっすよね?」
「さり気なくハゲって言うな。ハゲてねえ!」
「……なんでこう………………うーん……はぁ」
「……な、何だよ。そんなに考え込んで」
柚子ちゃんが辞めるのを止めるという重大なイベントをクリアしたと思ったのに、今度はあかっちまでも思いつめたように悩んでいる。
俺が何をしたって言うんだ。
「店長……。一つ聞いていいっすか?」
「なんだよ」
「……柚子ちゃんと七海ちゃん。正直どっちが好きなんすか?」
「どっちがって…………はぁ!?……きゅ、急に何の話だよ!」
「大事なことなんすよ。教えてくださいよ」
「そ、そんなの考えたことねーよ!」
「考えたことあるでしょ。七海ちゃんとか」
「……あ、あるわけないだろ!七海ちゃんの眼鏡食べたいなんて思ったことねえよ!」
「……柚子ちゃんとか」
「ね、年齢差考えろよ!柚子ちゃんの眼球ぺろぺろしたいなんて考えたこともねえよ!」
「いや……あの……マジできもいんすけど」




