第23話 仕切る。3
「そろそろ面接は終わりですよね?ありがとうございました」
「お、おう。……ありがとうございました」
面接は無事?終了した。全体的に主導権を向こうに握られていた気がするが気のせいだろう。実際に働く事になった場合、本当の支配者は俺なんだと理解するに違いない。そうに違いない。
「それで合格ですか?合格ですよね?」
「待て待て。そんなすぐ結果出すと思うなよ」
「早くあなたと一緒に仕事がしたいようぐへへって顔に書いてます」
「そんな長文入りきるほど、俺の顔は縦長でも横長でもねーよ」
「そう自分の顔の大きさを卑下しないでください」
「してねーよ!」
不採用でいい気がする。……しかし使える人材は雇っておきたい。現に人手不足で俺がこうやって体調を崩しているわけだし。まぁ……性格は置いといて採用することになるだろう。
「どうせ後で連絡することになるし、もう結果を言うけど採用するよ」
「やっぱり顔に書いてたんですね」
「顔には書いてねーよ」
「それじゃそろそろ時間も遅いので帰ろうと思います」
「おう。来週からシフトに入ってもらおうと思うから、また連絡するわ」
「……あの」
「ん?」
「途中から気付いたのですが、もしかして体調を崩されていますか?」
「え、ああ……。おう」
本当に今更だな。むしろ俺が体調崩してたことを忘れてたわ。
「……ごめんなさい。そんなことにもすぐに気づけずに面接なんかしてもらって……」
こうやって謝ってくれたのは嬉しいんだけど、正直色々とおかしい。まず第一に時間帯がおかしい。12時だよ?夜の12時にこの子来たんだよ?さらに言うなら家に無理やり上がりこんできたんだよ?おかしいよ?体調崩してたこと忘れるぐらいそっちのがインパクト強いよ?
でも…………しかし。
「気にすんな。今後頑張って働いてくれればそれでいいよ」
「ありがとうございます……!」
女の子の前だと変にかっこつけちゃうだよな。まあそんな自分嫌いじゃないけどさ。
「じゃあ夜遅いし、気をつけて帰って」
「ありがとうございます。……あ、最後に1つだけ」
「ん?」
「この部屋とても臭いと思います。では」
………………体調治ったら消臭剤買いに行こう。