第226話 BBQ。9 ※柚子ちゃん視点
……この手紙を渡せば、私は店長さんに思いを告げることができる。
でも……とても緊張して手紙を握りしめたまま、なかなか渡すことができない。手が震える。
手紙を渡した結果、店長さんに嫌われてしまったらどうしよう。嫌われてしまったらここで働くこともできなくなってしまう。
何だか負の気持ちがどんどん心を満たしていきます。せっかくあかっちさんが機会を作ってくれたのに、渡すことを躊躇ってきました。
「あのね、柚子ちゃん」
私が手紙を持ったまま何も喋らないことに見兼ねてか、店長さんが喋り出します。
「……こういう状況、実は慣れているんだ」
な、慣れてるの……!?……店長さんには私が何を伝えたいのかお見通しのようです……。
「……前にバイトを辞めていった子もこんな感じだった」
……前に働いてた人……振られてしまったんだぁ……。
そんな話を聞くと、手紙を渡すことをよりいっそ躊躇ってしまいます。
「……力仕事が得意な男の子だったんだけどさ」
……男……え……男!?!?
「辞めた理由は職場の雰囲気が合わないからって。……たぶんだけど、本当の辞めた原因は俺だったんだと思う」
……少し動揺してしまいましたが、……恋愛に性別は関係ありません。
「俺がこんな適当な性格してるから良くないんだろうな。昔辞めてったやつらも大体似たような感じだったよ」
……そんなに振られた人いるんだ……。
「だから……その……柚子ちゃんの気持ちも尊重したいんだけど……俺にいったん説得をさせてくれないか?柚子ちゃんには辞めてほしくないんだ!」
……もう既に十分説得されている気がします。……要するに……店長さんは私に告白されるのが嫌なんだ……。




