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第225話 BBQ。8 ※店長視点

 コンビニに向かう途中、柚子ちゃんはやけに静かだった。


 勿論普段、柚子ちゃんから俺に対して話しかけてくれるというのは殆どない。俺が一方的に話かけてふぇーっていう、端から見ると意味があるのか疑わしいやりとりを日常的にしているだけだ。


 しかし、今日は何だか妙に静かな印象を受ける。どこか緊張しているような……そんな様子。


 ……あれ?もしかして俺がこのまま、人気のない所に行って襲うんじゃないかと危惧してる???そんなことないよね??流石にそのぐらいの信用俺にあるよね?


 ……どこかいつも以上に空気が重い感じがしたので、雑談を試みる。


「BBQもたまにはいいよなぁー。なんか相当久しぶりにした気がするわー」


「…………」


「久しぶりっていうか、こういうの初めてかもしれんなー」


「…………」


「あはっはっはっは……柚子ちゃんはこういうの結構するのー?」


「…………」


 盛り上がらねえ……!会話全然盛り上がらねえ!!!


 どうしたの。柚子ちゃん。


 おじさん危ない思想の持ち主だけど、そんないきなりレディーを襲うほど危ない人じゃないよ?


 ……何だか自分の想像以上に空気が重い。何か重大なことを隠しているみたいな……そんな雰囲気が出ている。


 …………そういや、昔バイトを辞めてったやつも、言い出す前はこんな感じだったよな。……気のせいだといいけど。



 店に着くと、電気をつけて商品棚に置いてある花火を適当にカゴに放りこんでいく。自分の店でこんなことを言うのもなんだが、コンビニって何でも置いてて便利だなと改めて思う。


 大方選び終わると、お会計の際にジュースを一本追加して、柚子ちゃんに渡す。


 ……この様子だと悩み事があるのは間違いないだろう。


「柚子ちゃん、何かあった?」


 会話になるかわからんが、店長としてスタッフが悩んでいるなら話を聞くのが当然だ。


 ……暫くの間無言が続き、何かを決心したように緊張した面持ちで、何やら手紙のようなものを取り出す柚子ちゃん。


 まさか…………退職届!?

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