第213話 ふぇー。
人間には三大欲求というものが存在する。
食欲、睡眠欲、性欲。
男なら誰しも一度は好きな女性に好きなことをしてみたいと思う生き物だ。
――しかし現実はいつも残酷だ。世の中で重要視されるのはいつも顔、顔、顔。
イケメンが理想を手に入れ、俺みたいなちょっぴりイケメンは不利益をいつも被るのだ。
え?イケメンじゃない?うっせーよ。ぶっ殺すぞ。
そこで俺は遂に考え付いた。何でも言うことを聞かせる魔法のゲームを。全国の非モテ男子達に教えてやりたいのは山々だが、これは特定の人物にしか使えない。見ていればわかる。
早速ではあるが、今回この魔法のゲームを実際にやってみようと思う。
「柚子ちゃん!おはよう!」
「ふぇー!」
今日のシフトは柚子ちゃんと一緒だ。柚子ちゃんには申し訳ないが、今日は俺の操り人形になってもらう。……うへへっ。
「昨日面白いゲームを思いついたからやってみよう!」
「ふぇー!」
「負けたら何でも言うことを聞くっていうルールね!」
「ふぇー!」
「ゲーム内容はとっても簡単でふぇーって言ったら負けだよ!はい、スタート!」
「ふ……」
「…………え?」
「……」
「……柚子ちゃん?」
「……」
「……あれ……おかしいな……あれ……」
「……」
「私の負けです許してください」




