第20話 漏れる。
彼女の第一印象を言うなら、クラスの委員長とかやってそうなタイプ。つまり真面目そう。顔立ちは整っているし可愛いと思うが、俺のタイプではない。
とにかく面接するにしても、タイミングもおかしければ、場所もおかしい。日を改めてもらおう。
「えっとあの……面接だよね?じゃあ電話番号だけ教えてもらって、後日連絡するから――」
「お邪魔します」
「え、ちょ」
彼女は強引にも勝手に俺の家に入り込んできやがった。もしかしてこれ、今から面接しろって話?俺が一流企業の人事だったらこの時点で落とすよ?まあ一流企業じゃないし人手不足だから、まだこの段階では落とさないけどさ。
「臭っ……清潔感のある良い部屋ですね」
「さっき思いっきり臭いって聞こえたぞ」
「では、このボロ布の上に座って面接をしましょう」
「それは俺の布団だ」
なんて自由奔放なやつなんだ。面接する前に不採用にしてもいいんじゃないかと思い始めてきた。
……って言うか凄く今更だが、この子なんでうちの住所知ってんの?
「時間も遅いですし、早めに終わらせちゃいましょう」
「面接を始める前に質問なんだけどさ、うちのコンビニで働きたいって話だよね?」
「はい、アルバイトの募集チラシを見て、今回来させてもらいました」
「うん、それでもう一つ質問なんだけどさ、なんで俺の住所がわかったの?っつかなんでわざわざ家にきたの?」
「アルバイトの人に聞いたら、住所を教えてくれました」
……マジかよ。俺の個人情報だだ漏れじゃねえか。