第192話 もらう。
「店長カルトンって知ってます?」
「は?何それ?」
今日のシフトはあかっちと一緒だ。
「ちょっと考えてみてくださいよ」
「食い物?なんかのブランド?どっかの国の名前??」
「全部外れっすね」
「んー。全く想像もできないな……」
「ちなみにこの問題、カルトンが何か知ってる100人に聞いたら100人が即答する問題っすよ」
「当たり前のことを言って俺を馬鹿にするのやめろ!」
「ヒントを出すなら店内にあるものっすよ」
店内にあるもの……コピー機の別称?……もしかして中華まん温めるこの機械の名前とか??いや、見たことあるけど、名前がわかんないようなやつとかか……?
「あの!あれだ!グミとか飴とか引っ掛ける金属の棒のやつだ!」
「違いますよ。正解はお会計の際、お金を受け取るトレイのことっすよ。これがカルトンです」
「はぁ!?かっこつけた言い方しやがってきもいなぁ!!」
「正解できなかった不満を俺にぶつけないでもらっていいっすか」
ぐうの音も出ない。
「……んでそのトレイがどうしたんだよ。まさかそれで話終わりとか言わねえよな」
「いや、疑問だったんすけど最近カルトンを置いてないコンビニ増えてますよね?あれってなんでっすか?」
「あー。単純にカウンターが狭い店だとレジの邪魔になるからな。後トレイがあると会計を完全に後回しにして作業する店員が多くてトラブルも結構あるみたいだ。だから店によってはお金は基本、手で受け取るように指示してる所もあんだよ」
「へぇー。意外に詳しいんすね」
「久しぶりに尊敬ポイントを出しちまったな」
「そんなんはどうでもいいっすけど、うちは使ったままでいくんすか?」
「さらっと流すな。……前にトレイを無くして、手で受け取るようにしてみたけど、無視してカウンターに置く客が多くてやめた。何故か俺の場合女性客が多かったな。何でだろうな」
「……そうっすか……なんかすいません」