第182話 トマト。3
「質問をしてもいいですか?」
「なに?」
「あざらしがカラーボールを投げた人ってどんな人なのですか?」
先輩の所に向かっている最中、あざらしが話しかけてきた。
……どんな人って言われるとバカとかゴミとか2文字で説明できてしまう。しかし、あんな人でも一応元アルバイトの先輩だ。嘘でもいいから適当に褒めておいたほうがいいかもしれない。
「……バカ先輩はマジで良い人だよ。マジで。やべえから」
「……ものすごくざっくりとしているのですよ。それよりバカ先輩という名前なのですか?」
「え?……ああ。俺が心の中でそう呼んでるだけだよ」
「あざらしより名前が変わっているのですよ……」
「いや、バカは名前じゃないからな?」
バカが名前なんて可哀想すぎるだろ。
「あざらしも親しみを込めてバカ先輩と呼ぶのですよ」
「心の中だけにしといてな」
「いや、実際に呼ぶのですよ!」
「やめろ」
あの人ならバカと言われてることにすら気づかなそうだけど。
そうこうしている間に先輩が言っていた公園に到着した。
周りを見渡すと、遠目からでも判断できるほど色合いが目立っているバカ先輩を発見。誰かと会話をしているようだ。
…………あの服装は……警察???




