第176話 だべる。3
「とりあえず一つ確認したいんだけどいい?」
「なんですか??」
「投げた後、ちゃんと記念撮影した?」
「着眼点がおかしいのですよ」
残念な事にあざらしは写真は撮っていないらしい。
それにしてもカラーボールを間違って投げる状況というのは一体どういうことなんだろう?
「誰に……というか何で投げたの?」
「男性のお客さんだったのですが、お弁当と店の制服をカゴに入れて持ってきたのですよ」
「え?」
制服なんか売り場に出てるわけがないし……バックヤードから取ってきたのか???
「その後、お弁当はちゃんとお会計したのですが、制服はバーコードが付いてなくてレジを打ち忘れてしまったのですよ」
「……まあ売り物じゃないからね」
「そのことに途中で気づいてしまって、お客さんが制服を盗んだことになるので、店を出た後追いかけてカラーボールを投げつけてやったのですよ」
「なんか色々と間違ってるね」
制服を持ってきたお客さんもおかしければあざらしの対応も相当おかしい。話がごちゃごちゃしている。一旦話を整理したい。
「投げた後お客さんは何か言ってた??」
「そこなのですよ。その人が「仕事中にキャッチボールはよくないよ。僕もここで働いてるからまたよろしくね」と言っていたのですよ。同じアルバイトの人なら制服を持って行ってもおかしくないので、あざらしは勘違いをしてしまったのですよ……」
「……いや……男性アルバイトは俺とあざらししかいないはずだよ」
店長から新しくアルバイトを採ったという話も聞いていないし……本当に不審者じゃないのか??
「ちなみにその人はどんな人だった?」
「身長が高くて、眼鏡をかけていて、頭がよさそうな感じの人だったのですよ」
「身長が高くて……眼鏡をかけていて……あっ」




