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第175話 だべる。2
「……最悪なのですよ」
「……どうした?」
「……あざらしはミスをしてしまったのですよ」
お客さんの波がようやく途切れ、昼のピークが終わると、よほど深刻なミスをしたのだろうか。いつものぽわぁーとした雰囲気はどこへやら、あざらしが暗い表情を浮かべ話かけてきた。
「……何があった?」
「……はぁ。……あざらしの心に大きな穴が空いた気がするのですよ」
「……大丈夫か?」
「通気性抜群でスース―してとっても気持ちいいのですよ……」
「……気持ちいいのかよ」
一体どんなミスをしたんだろう。商品を入れ忘れたとか?お釣りを多く返してしまったとか??弁当をレンジで温めたまま渡し忘れたとか?まあ店長なら大抵のミスは「お前だけは絶対に許さないからな」とか言われて、それっきりで済むんだけどさ。そんなに深く落ち込まなくてもいいのに。
「それでどんなミスしたんだ?」
「……その……えっと……」
「大丈夫だって。適当に謝ってればなんとかなるって」
「…………お客さんにカラーボールを投げちゃったのですよ」
「……へぇ……!それは大変だなぁ……!」
「……なんで楽しそうなのですか」




