表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/245

第X話 エイプリルフール 番外編。

「実は店長に伝えたいことがあるんすよね」


「なんだよ改まって」


  4月1日。エイプリルフール。今日のシフトはあかっちと一緒だ。どうせつまらない嘘をついて俺を騙そうとしているに違いない。ふふ。騙されたふりをして逆にこいつを手玉に取ってやる。


「店長にはいつもお世話になってるんで、俺の秘密を話そうと思ったんすよ」


「ほー?秘密?」


「実は俺、最近ユーチューバーになったんすよ」


「……え?」


 ……実際にありそうな嘘を付きやがって。少しびっくりしてしまったが、そんなの嘘に決まっている。はははっ。馬鹿め。話を詳しく聞いてボロを出させてやる。


「一体どんな動画を投稿しているんだ?詳しく聞かせてくれよ」


「そうっすね……アイスケースの中で鍋パとか」


「ほぉー」


「カラーボールを使って店内で野球大会とか」


「それはまた斬新だなぁー」


「商品の中に爪楊枝を入れる様子を撮影したんすよ」


「へ、へぇ……」


「割と批判コメントも多いっすけど、バイトよりも稼げて良い感じなんすよ」


「そ、それはすごいなぁ……」


「この調子で再生数がもっと伸びたら、一生働かなくていいんすけどねー」


 あかっちの口からすらすらと言葉が出てきて動揺する。こんなに嘘ってポンポンつけるものなのか?こいつの場合、平気な顔してやってそうだから流石に不安になってくる。


「あのさ…………嘘だよな?」


「え?何がっすか?」


「…………エイプリルフールだから嘘をついたんだよな?」


「え?何がっすか?」


「いやいやいやいや!さっきの話って全部嘘だよな???本当じゃないよな???」


「ふふ。騙されなかったっすかー。嘘っすよ。嘘」


「な、なんだよ……びっくりさせんなよ……」


「ユーチューバ―になんかなってないっすよ。そんなの投稿したらマジで捕まっちゃうじゃないっすか」


 本当にこいつ無駄に演技上手いから焦るわ……。実際にそんな動画をアップしてたら、ネットで叩かれて店が潰れてしまうからな。…………ってあれ?


「お前さっき投稿したら捕まっちゃうって言ったよな?」


「言いましたよ」


「もしかして投稿していないだけで本当にやったのか……?」


「え?何がっすか?」


「いやいやいや!そういう演技はいいから!」


「えー?ちょっと何言ってるのかわかんないっすね」


「お前ふざけんなよ!!!そんな事して言いわけないだろ!!!いい加減にしろよ!!!」


「店長。嘘っすよ。嘘」


「…………へ?」


「いつもお世話になってるってところから全部嘘っすよ」


「……それすら嘘なのかよ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ