第158話 カード。
「て、て、店長さん大変です!」
「どうした」
今日のシフトは上神妹と一緒だ。何やら慌てている様子だ。
「わ、私さっきみたんですけど!金髪のヤンキーみたいな子がプリペイドカード盗んじゃったんです!!!」
「……まじか。もうそいつは逃げちゃったんだよな?」
「一瞬の出来事だったんで……うう……。すみません……」
「……後で防犯カメラ確認しとくか。……まあ気にすんな。よくあることだ」
最近ソーシャルゲーム等が流行っているせいか、プリペイドカードの盗難が増えている。盗まれたカードの金額を合計すると、かなりの額になるだろうが……実の所、店の被害はほとんどない。
「店長さんやけに落ちついてますね……?」
「あんなの盗んだ所でただの紙切れだからな」
「そうなんですか?」
「あーいうプリペイドカードっていうのは、一回レジを通してからじゃないと使えないようになってんだよ」
「え!そうだったんですか!?」
「おう。だから盗んでも残念ながら無意味。ただ、盗まれるたびに在庫の数は減ってしまうから、発注しなきゃいけなくてめんどくせえけどな」
「全く知らなかったです……。店長さんって意外にお仕事詳しいんですね!」
「お前店長なんだと思ってんだ」
 




