第156話 三人目。2
「もちろん壊すと言っても物理的な意味ではないのですよ。あざらしにそんな筋力はないのです。……ふふっ」
「え……あ……おう」
「さっきのはあざらしジョークなのですよ。大爆笑なのですよ」
「あざらしウケはいいかもしれんが、人間ウケはかなり悪いぞ」
名前だけが変なのかと思ったら中身も相当おかしい。今まで散々狂ってるやつを見てきたが、名前すらおかしいとなると、もう外見と日本語喋ってる以外まともな所が見当たらない。
「ちなみにですね、日本を壊すっていうのは今の状況を変えたいっていう意味なのですよ。優しい国を作りたいのですよ」
「もう話が壮大すぎて意味がわからん。要するに政治家にでもなりたいってことか?」
「違いますよ。あざらしは天皇陛下になりたいのですよ」
「……せめて総理大臣になりたいっていっとけ。天皇陛下になっても政治にほとんど関われないぞ」
「……じゃあ総理大臣になりたいのですよ」
「お前の知識浅はかすぎだろ!」
「あざらしを馬鹿にするのは止めてほしいのです。あざらしが可愛そうなのですよ」
「……なんかお前があざらしあざらし言うから動物を虐めてるみたいで気分悪くなってきたわ!」
……すぐ面接を終わらせようと思ったのに、何故か向こうのペースに飲まれている気がする。




