第155話 三人目。
面接三人目。
「それじゃあ早速面接を始めるね。よろしく」
「よろしくなのですよ」
三人目にしてやっと外見的には普通な子が来てくれた。顔は幼い印象を受けるが、履歴書を見ると今年大学に入学するらしい。どこかのほほんとしている気もするが、男だからそれなりに力仕事は問題ないだろう。……しかし、一点確認をしたい。
「あの……凄く失礼なことを言ってしまうかもしれないけど……履歴書に田中あざらしって書いてるけどこれは本名で間違いないかな?」
「本名なのですよ」
随分と個性的な名前だ。思わずペンネームか何かかと疑いたくなる。最近子供に変わった名前を付ける傾向があるみたいだが、将来を考えてつけているのかと親に文句を言ってやりたい。
「ごめんね、変な確認してしまって」
「あざらしは気にしてないのですよ」
「うん、自分のこと名前で呼んじゃうんだね」
本人は意外に気にいっているらしい。
「とりあえず志望動機から聞いていこうかな」
「えっとですね。あざらしは日本をぶち壊したいんですよ」
「……ん?」
「日本をぶち壊すためには資金が必要なのですよ。だからあざらしはバイトを始めたいのですよ」
「うん、筋が通っているように見せかけて根本的におかしいよね」




