第154話 二人目。
面接二人目。
「…………まず自己紹介をお願いします」
「はぁい♪君の心にぴったりくっ付く正統派アイドルもっぴぃーだよぉ☆よろしくね☆」
「……履歴書に神崎奈央さんと書いてますが、本名はこちらでお間違いないですか?」
「えぇー!?違うよぉー!?もっぴぃーの名前はもっぴぃーだよぉお☆」
「……」
どこでそんな服売ってんだよとつっこみたくなるような、フリフリの衣装を着た自称アイドルが面接にやってきた。アイドル業界の内情は知らんが、バイトをしないと生活ができないのかもしれない。ポジティブに考えるならバイトの面接なのに、わざわざアイドルとして来るんだからプロ意識が高いのかもしれない。そういうやつは根が真面目だったりする。……とりあえず質問して判断していくか。
「えっと……もっぴぃーさんでしたっけ?志望動機を教えてもらってもいいですか?」
「えぇー☆もっぴぃーのサインがほしいって?どうしよっかなぁ……☆☆」
「……志望動機を教えてもらってもいいですか?」
「もっぴぃーって普段オフの時はそういうのしないんですよねぇー☆でもぉ!どうしてもっていうなら……特別に」
「これで面接は終わりです。ありがとうございました」
◇
「採用するかどうかは置いといて、どうせならサインもらったらよかったじゃないっすか」
「いらねえよ」




