第144話 消える。6
作戦その2。
頭の良い七海ちゃんにアイデアを出してもらおう。というわけで早速電話。
「もしもし、七海ちゃん?」
「ど、どうしました?」
「バカが馬鹿じゃなくなって、そのためにあいつがバカになる方法を考えているんだけどさ」
「……意味がわからないです」
俺も何を言っているのかわからなくなってきたため、一旦話を整理して七海ちゃんに伝えた。
「そんなことがあったんですね……でも賢くなってるならいいんじゃないですか?別に何か問題はないんですよね?」
「いや……ぐうの音も出ないんだけどさ。なんか別人になってしまったみたいで嫌なんだよ」
「そうですか……」
「それで何か方法はないか?」
「そうですね……。死なない程度に硬い物で頭を殴っていれば、脳細胞が死んでバカになるんじゃないですか?」
「発想が怖えよ」
「得意分野ではないので……今回はあまりお役に立てなさそうです」
「そうか……。あれ?ちょっと待てよ……?」
「どうしました?」
「もしかしたら七海ちゃんがにゃんって言えば、あいつの性格も元に戻るかもしれない……」
「ぜ、絶対関係ないでしょ!!……は、恥ずかしいから言いませんっ!!」
「頼む!お願いだ!あいつのためなんだ!今すぐ言ってくれ!!」
「い、嫌です!!というか電話なんだから、聞くの店長さんじゃないですか!」
「なんだ?皆で聞けるようにしたほうがいいってことか?携帯にはそういう機能もあるんだぞ?」
「そ、そういうことを言ってるんじゃないんです!!!」
「どうなんだ。俺一人が聞くか、皆が聞くか、どっちがいいんだ!」
「うっ……そ、その二択なら、店長さんだけがいいです……」
「よしっ!じゃあ言うってことだよな?」
「……い、嫌です!……恥ずかしいもん……」
「頼むって!一生のお願いだ!早くにゃんって言ってくれ!あいつのためなんだ!」
「前も私に一生のお願い使いましたよ!?そんなポンポン使っていいんですか!」
「頼む!これが本当の一生のお願いだ!」
「……もうっ。………にゃ……にゃんっ」
「……なんか違うんだよなぁ」
「うー嫌いっ!」
通話を切られてしまった。
作戦失敗。




