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第140話 消える。2

 ――翌日、バカは入院した。


「もしもし……店長さんですか??」


「ど、どうだ?あいつの具合は?」


「最初は私の名前も思い出せないって言ってたんですけど、今はもう大丈夫です!」


「そ、そうか……。無駄に心配させやがって……。命に別状はないのか?」


「お医者さんが言うには、念のため何回か検査すればもう大丈夫だそうです!」


「それはよかった……」


「店長さんもよかったらお見舞いに来てあげてください!お兄ちゃんも喜ぶと思います!」


「わかった。仕事が終わったら行くわ」


 原因はわからないが、バカは本当に記憶喪失だったらしい。俺も上神妹伝えにしか聞いていないが、医者の話によると、嫌なことを忘れるための防衛機能として、記憶が抜けたんだとか何とか。しかしそれも一時的なもので、今は回復しているらしい。


 まったく……働かないどころか無駄に心配までかけさせやがって……。困った野郎だ。



 仕事が終わり、店の商品を適当にレジ袋に詰めて、バカが入院している病院に向かった。病院に着くと、受付の人にお見舞いであることを伝え、部屋番号を教えてもらう。……大丈夫なんだとわかっていても何故か顔を見るまでは心配してしまう。コツコツと自分の足音が反響してよく聞こえ、緊張感を高める。部屋の前に着くと、ノックを2回ほどして中に入った。


「あ……店長!わざわざ来てくれたんですね」


「お、おう」


「すみません……ご迷惑をおかけしてしまって……」


「いや、気にすんな。……体調は大丈夫か?」


「はい。周りの方々が良くしてくださったおかげで、もう大丈夫です」


「それはよかった。これ。店から持ってきたから、腹減った時にでも食えよ」


「いいんですか!ありがとうございます」


 そう言い、店から持ってきたものをバカに渡す。なんだ……すっかり元気そうじゃねえか。


「退院は検査日を考えると、1週間後になりそうです。また分かったら、電話でシフトに入れる日を伝えますね」


「そうしてくれると助かるわ」


「今はバイトの人数も少ないですからね……。妹にも土日は積極的に入るように言っとくんで、よろしくお願いします」


「……お、おう」


 何だろう……いつもより上手くコミュニケーションが取れている気がするんだが……何故か違和感を覚えた。

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