第134話 ふぇー。22
「家まで送るよ」
「ふぇー……」
マックを食い終わった後、今どきの女子高生の門限が何時かわからないため、家まで送ることにした。親御さんに俺が夜遅くまで連れまわしたと思われたら最悪だしな。
柚子ちゃんの住所に関しては偶然暗記していたため、寸分の狂いもなくカーナビに入力した。あー。思い返してみると柚子ちゃんの意外な一面が見れて結果的には楽しかった気がする。なんで楽しい時間ってこんな早く終わっちゃうんだろうな。
「ふぇー……」
柚子ちゃんも疲れているのか、俺が運転している最中、独り言のようにふぇーふぇー言っている。恐らくだが、あくびと似たような類のものだろう。別に寝てても大丈夫なのに。家には案外すぐ到着していまい、近くに車を止めることにした。
「つ、着いたよ」
「ふぇ……」
「どうしたの?」
「ふぇ……」
「んん?何々?」
「ふぇ……!」
……何か柚子ちゃんが言いたそうにしているのは凄くわかる。わかるんだけど、何を言ってるのかさっぱりわからん。頼む。誰か通訳をしてくれ。
その後、柚子ちゃんはしばらく黙ってしまい、一礼して車を出て行ってしまった。……気のせいか少し表情が暗かった気がする。な、何か悪いことをしてしまったのだろうか。……今度誰かに聞いてもらうか……。
 




