第128話 あそぶ。
「ねえねえ七海ちゃん」
「……どうしました?」
「今日なんで店長が休みか知ってる?」
「……あかっちさんは知ってるんですか?」
今日のシフトは七海ちゃんと一緒だ。バイトの先輩後輩関係っていうのは不思議なもんで、七海ちゃんのが年齢的には年上だけど、バイト歴は俺のほうが長いからか敬語を使って話してくれる。別にため口でいいんだけどなぁー。
まあそんなことはどうでもいいとして……。今日は七海ちゃんをいじって遊ぼう。
「実は店長、柚子ちゃんとデートしてんだよ」
「…………え?」
「いやぁー……まさかあの二人がねぇ……」
「…………つ、付き合っているんですか?」
暗い表情で考え込む七海ちゃん。こんなにわかりやすい子いるのだろうか。
「さあ?どうなんだろうね」
「……何か知ってるんですか?」
「そんなに店長のことが気になるの?」
「……店長さんのことなんて一ミリも興味ないです。それで何か知ってることがあるなら、何でもいいんで教えてください」
「凄い矛盾してるんだけど」
「……ゆ、柚子ちゃんに興味があるんです」
「レズ!?」
……まあどう見ても嘘なんだろうけど。もっと店長に対して素直になればいいのになぁー。
「それで……どうなんですか?早く柚子ちゃんの情報を教えてください」
「単純に遊びに行ってるだけだよ。別に付き合ってもないし」
「……本当にそうなんですか?」
「え?あ、うん」
「……そりゃそうですよね。店長さんって非モテ代表みたいな雰囲気醸し出してますし。もし仮に柚子ちゃんと付き合っても逮捕されるのがオチですよね。冷静に考えればわかることでした。…………よかった……」
安堵の表情を浮かべている。そんなに好きなら、いっそ告っちゃえばいいのに。
「いやぁー。七海ちゃんは面白いなぁー」
「……まさか私をからかうためにそんなことを言い出したんですか?」
「ど、どうだろうねー」
「……そういえばあかっちさんって妹がいるんでしたよね」
「え?ああ。いるよ」
「……年頃の女の子って実はオークションで売れるんですよね……」
「えっ!何すんの!こわっ!」




