第115話 床掃除。
「あかっち久しぶり!さっそく仕事にとりかかろうか」
「とりあえず先輩は床掃除をお願いします。レジ点検は俺がやるんで」
今日はバカ先輩とシフトが一緒だ。はぁ……店長め……。一緒にシフト入るぐらいなら一人でいいって言ってんのに……。バカ先輩と一緒だと仕事が3倍以上増えるんだよな……。
「ねえねえ。あかっち」
「どうしたんすか?」
「今更だけど床ってどこまで掃除すればいいの?」
「え?いや…………全部っすよ」
「……ん?……全部?いやいや。ちょっと待って。流石にこの世の全ての床は掃除できないよ」
「…………言い方がよくなかったっすね。この建物の中の床を掃除してください」
「ああ!この建物の中ね!そう言ってくれないとわからないよ!」
「……すみません」
なぜ謝っているのか自分でもよくわからないけど、長く一緒に働けば、先輩の扱いにも結構慣れてくる。動物に芸を教えるように話すのがポイントだ。
「それじゃあ床掃除をするよ」
「了解っす」
「ん…………?」
「今度はどうしたんすか」
「今更だけど床ってどこまで掃除すればいいの?」
「……先輩、今日は帰っていいっすよ」
ほんと一人で働いたほうが効率良い気がする……。




