第105話 ナンパ。
コンビニに来る理由は人それぞれだ。
買い忘れたものを買いに来たり、空いた時間で立ち読みに来たり。
理由は様々だがそんな中でも……店員目当てで来る。
そんなお客さんもたまにいる。
「いいじゃん。いいじゃん。今度遊びに行こうよ?」
「すみません。私、忙しいので……」
「じゃあLINE教えてよ?都合のいい日に行こ?」
「…………すみません」
チャラチャラした金髪の男が七海ちゃんと何か会話をしている。見た感じ知り合いには見えない。
「まあいいや。また来るね」
「……ありがとうございます。……またお越しくださいませ」
会計が終わったようなので、七海ちゃんに駆け寄る。いつもより表情が暗い。
「さっきのお客さんってよく来るの?」
「え?あ…………はい。最近よく来られます」
「あーいう客って鬱陶しいよな。ま、俺は男だからそんな経験ないんだけどさ」
「そうですね……。お釣りを渡す時に手を握られたりするんで……ちょっと苦手なタイプのお客さんです」
「…………嫌なもんは嫌ってはっきり言ったほうがいいぞ?こういうのって許した分だけ悪化していくもんだし」
「お客さんなんで……言えないです。後……店長さんにも迷惑掛けたくないんで……」
「そこらへんは全然気にしなくていいけど……何かあれば俺に相談しろよ?」
「はい……」
今日の七海ちゃんはいつもと違い、全く元気がなかった。




