第104話 上神妹。3
「すみません……。床が汚くなっちゃいますよね……」
「なんかずれてる気がするけどそういうことだよ」
「後でしっかり掃除するんで舐めますね……」
「そういう問題じゃない!!!」
兄妹揃って頭のネジが何本が外れてやがる。説得するのは難しそうだから、会話を続けて行動を止めさせるしかない。
「そういえば今日はどんな用事で来たの?」
「お兄ちゃんが変になってしまった原因を突き止めようと思って……」
「変になってしまった原因?」
「最近ぼぉーっと考え事をしていることが多くなって………まるで恋をしているみたいなんです……」
ああ……。柚子ちゃんの件か。
「私の予想だとここの店に原因があると思うんですけど……」
「たしかにうちのバイトの子が好きみたいだね」
「やっぱりそうなんですか!?……何とか阻止しないと…………。……あの……!」
「どうしたの?」
「わ、私をここで働かせてくれませんか?」
「えっ」
……意外な発言にびっくりしてしまったが、柚子ちゃんとバカが付き合うのだけは俺も阻止したいから、利害が一致している気がする……。だが、しかし……。
「私って割と器用に何でもこなせるので、お役に立てると思います!ちょっとブラコンだけど気にならない程度だと思います!」
「すっごく気になるけどな……」
「働かせてください!……お願いします!!」
「……はぁ。じゃあ来週の土曜日うちの店に来て。メモとペンだけ忘れずに持ってきてね」
「ありがとうございます!頑張ります!わからないことは事前にお兄ちゃんに聞いておきますね!」
「それはやめてくれ」
あーあ。俺って女の子のお願いに弱いんだよな……。
また変な子を雇ってしまった……。




