第95話 買い物。3
「……大体でいいんで何あげるか考えましょっか」
「……そ、そうだな」
柚子ちゃんの好きなものが見当もつかないので、あかっちと一緒に考えることにする。
「ちなみに柚子ちゃんに何をプレゼントすんの?」
「入浴剤っすよ」
「入浴剤?……なんで?」
「美容系って定番かなと思って。少し高めの入浴剤なら自分で買う人って少ないですし、形に残るものだと少し重い気がしたんでこれにしましたよ」
「……色々考えてんだな」
「そりゃプレゼントするからには、喜んでもらいたいっすからね」
「なるほどね……。ちなみに俺はあげたら絶対に好きになってもらえるやつがいいな」
「必死すぎて気持ち悪いっすよ」
「う、うっせえよ!」
俺がこういうのに不慣れな分、あかっちが優位にたってて悔しい。……いや、仕事でもこいつが完全に優位にたってる気もするが。
「まあこういうのって気持ちが大切だと思うんで、あげたい物をプレゼントしたらいいと思いますよ」
「そ、そうだな」
その後、2時間ほど色んな店を見て回ったがピンとくるものはなかった。俺が変に考えすぎているのもあるんだろうが、プレゼント選びってこんなに難しいものなのか……。
お互いに少し疲れてきたので息抜きにゲームセンターに行くことにした。何年ぶりだろう……。学生の頃以来だ。格闘ゲームや音ゲーやUFOキャッチャーを見て回る。
その中にひときわ目立つ大きなまんまるとした猫のぬいぐるみがUFOキャッチャーの中に置いてあった。
何故か目が離せずじっと眺めてしまう。
……まるで引き寄せらるようだ。
俺は確信する。…………これしかない!
「プレゼントこれにするわ」
「え?これっすか?」
「これに決まりだ!よし、あかっち!両替機で1万円くずしてこい」
「いいっすけど……」
その後、約2万円ほど使い無事取ることができた。
これだけの金額を使っていれば、もっといい物が買えた気がするが……。
俺は満足している。