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相合い傘  作者: 如月イヴ
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夏祭り2

やっと書けました。遅くなって済みません。

つじつま合わせのため、前の話を少し修正しました。

夏祭り当日。

十月の浴衣がなかなか決まらなくて、大変だった。

十月は水色に金魚に決まり、私は紺色に朝顔の浴衣になった。


「ねぇ、私には大人っぽくないかな?」

「そんなことないよ。とっても似合ってるよ!」


集合時間にはまだ余裕なのに早く早くと急かす十月と小走りで集合場所まで向かう途中、不安だったので聞いてみる。

十月は振り返りニッコリと笑いかける。


「さ、早く行こう。隆也くんを待たせちゃいけないし!」

「そんな急がなくても、大丈夫でしょ…。」


呆れながらも、急ぐ。

それにしても走りにくいなぁ。


   *    *    *


集合場所にアイツらはもういた。

まだ私たちには気づいてない。

十月は胸に手を当て、深呼吸。


「へ、変じゃないかな?」

「大丈夫。きっと、里岡も可愛いって言ってくれるよ。」

「そうかな…。えへへ。」


照れ笑いを浮かべる十月。私は、十月に気づかれないようにため息をつく。

本当にこの子は、恋する乙女って感じだわ…。見ているこっちも照れるわ。

里岡達をチラチラ見ながらもなかなか出ていかない十月の背中をそっと押す。


「わわっ!」

「早く行こうよ。里岡を待たせちゃいけないんでしょ?」

「う、うん。そうだね…。」


そういいながらも、なかなか行こうとしない十月。

深呼吸ばかりしている。

チラリと里岡達を見る。

里岡は、キョロキョロと辺りを見回している。おそらく、というか絶対十月を探している。

相沢は、若干うんざりしている…?疲れた表情を浮かべている。

うん、これは早くいかないと。


「もう、早くしないと私が先に声かけるよ。」

「え!?だ、ダメ!よ、よし、行こう!」


私の言葉で覚悟が決まったようだ。それでも、恐る恐る里岡達に近づく。

そして、緊張で震える声で声をかける。


「お、お待たせ…!ま、待たせちゃったかな?」

「あ、十月ちゃん!ううん。今来たところだから全然待ってないよ?」

「そ、そっか。よかったぁ。」

「…えっと、その浴衣とても似合ってるよ。すごく可愛い。」


里岡が顔を真っ赤にして目を逸らしながら、上擦った声で言う。

その言葉に、十月は顔を真っ赤にする。


「えへへ、あ、ありがとう…。」


小さな声でお礼を言う、十月。完全に、二人の世界だ。空気がゲロ甘だ。

少し離れた場所で疲れたように笑う私に相沢が近寄ってきた。

腕を組んで、不機嫌そうな表情を浮かべている。

恨みがましい目つきで里岡を見てため息をつく。


「何が、今来たところだ。一時間以上前から待っていたじゃねぇか…!」

「え、そんなに前から!?」

「おう。集合時間の三十分前くらいまでずっと”来てくれるかな?”とか”可愛いとか言えるかな?”とかばっか言ってたんだぜ、アイツ。鬱陶しくて仕方なかった。」

「あ、アハハ…。大変だったね…。まぁ、無事言えたんだしいいじゃん。」

「バカいえ。この後も大変だよ。今日のことを数日間は延々と話すぜ…。あー、考えただけでテンション下がるわー。」

「あー、十月もそうだろうな…。あー。」


考えただけで、ゲッソリしてくる。

最初はいい。好きな人のことを、頬を赤く染め恥ずかしそうに話す姿はとても可愛い。癒される。

だけど、同じ話をもう何度も何度も聞くのは辛い。うんざりする。流石に。

まあ”もうその話はいいわ。”と言ったら、話さなくなるのだがあまりにも幸せそうに喋るのでなかなか言い出せない。相沢もそうらしい。

二人そろってため息をつく。


「あー、そういえば。お前も、浴衣で来るとは思わなかったわ。」

「何よ、悪い?」

「あ?誰もそんなこと言ってねぇだろ。」

「だって、十月がどうしても一緒に着たいっていうから…。」


だんだん恥ずかしくなってきた。咄嗟に俯く。

やっぱり、似合わないよね…。

無意識に袖を強く握る。


「意外と似合ってるぞ。…可愛いんじゃねぇの。」

「…え。」


アイツの言葉にびっくりして顔を上げ、彼の顔を凝視する。

アイツは、頭の後ろで手を組み明後日の方向を向いていた。

わずかに見える横顔はほんのり赤い。

私もジワリと頬に熱を持つ。

ズルい。不意打ちでそんな言葉。

ドキドキしてる。頬がこんなに熱いんだ、顔も真っ赤だろう。


「い、いきなりどうしてそんな言葉。」

「わ、わりぃかよ。思ったこと言っただけだろ。」

「…バカ。もう、バカ。でも…。ありがと。」


目を逸らして、呟く。小さな声でもアイツには聞こえていたみたいだ。視線を感じる。

でも、顔を上げることができない。今、アイツの顔をまともに見ることが出来ない。


「あー、お、俺、腹減った!」


いきなり言い放ったアイツの言葉にキョトンとする。微妙に棒読みのような。

思わず彼の方に視線を向ける。アイツは乱暴に髪をかき回していた。まだ若干頬が赤い。

きっと、この空気をどうにかしたかったのだろう。正直、助かった。

そっとため息をつく。両手で頬に触れる。まだ少し熱い。


前は感じなかった、この胸のドキドキ。

いや、もしかしたら前から感じていたのかもしれない。

けれど、前より確かに感じるようになったトキメキ。

その変化に正直戸惑っている。それに、少し怖い。

私の中で少しずつ変わっていくアイツの存在。

私が気づかない間にどんどん大きくなる。

まだ気づきたくない。まだ知りたくない。

芽生え始めた、いやもしかしたら前からあったかもしれないこの気持ちに。


ぼんやりと彼を見つめる。無意識に胸に手を置く。

いつもより早く刻む鼓動を押さえつけるように心臓の位置で手を握る。

深呼吸を一つ。いつもの調子でアイツに声をかけるために。

深呼吸をもう一つ。まだ気づきたくない気持ちに蓋をするために。




中途半端に終わってすいません。本当は2で夏祭りは終わりの予定だったんですが。書いていたらどうしてもここで切りたくなったので。夏祭りのお話は三話になりました。

続きはできるだけ早くあげたいと思ってます。努力します。


書き途中の話ですが。

”頭の後ろで手を組んで”のところを”頭の後ろで頭を組んで”と間違えていました。見つけた時、思わず笑ってしまいました。いやはや、恥ずかしい。

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