次の日のこと。
更新がとても遅くなってすいません。
アイツと一緒に帰った次の日。
昨日、あんなに降っていた雨が嘘のように晴れていた。
私は、何故か少し緊張しながら教室へ入った。
彼はもう来ていた。自分の席の机に座って周りに集まった男子や女子と話している。
女子に笑いかける彼を見てしまって少しムッとしながら自分の席に着き荷物を整理し始めた。
「おはよう、香月。」
荷物を整理し終えて一息ついていると声をかけられた。
「おはよう、十月。」
前の席の子で私の親友、緋月十月。
白く滑らかな肌にぱっちりな瞳。スッと通った鼻に形のいい唇。
誰が見ても美少女というであろう立派な美少女である。
私の自慢の親友。
今日は、いつもよりも笑顔が輝いて見える。
ははーん。さては…
「十月、昨日何か良いことあった?」
「え!?どうしてそう思うの?」
「いつもより、笑顔が二割増しで輝いているから。」
「あうぅー。」
恥ずかしそうに頬をおさえる十月。
やっぱりね。十月がこんな顔するってことは…。
「里岡と何かあった?」
「ふぇ!?何で分かったの?」
「十月の笑顔が二割増しで輝くときは大抵里岡がらみでしょ?」
「えへへ…。実は昨日傘持ってなくて雨宿りしていたら偶然通りかかった隆也くんとあ、相合い傘して帰ったんだー。」
十月がすごく嬉しそうに語っている。
隆也くんこと里岡隆也。
隣のクラスで十月の思い人。
いつもほわほわしていてとても優しいイケメン。
あいつと仲がいい。
あいつこと相沢翔。
私たちと同じクラスのムードメーカー。
クラスのリーダー的存在で私の天敵。
男子からの人気が高い十月が里岡に恋した過程はさておき、今は里岡と話せただけでこんな感じである。
「幸せそうだね。」
「えへへー。あ、そういえば香月は大丈夫だったの?」
「へ?」
「雨だよ。香月も傘持っていなかったでしょ?」
「え?あー、偶然居合わせた相沢に入れてもらった。」
「え!?相沢くんと相合い傘して帰ったの!?」
十月が目を真ん丸にしてこちらを見た。
「う、うん。まぁ…。」
「えー、意外。相沢くんと相合い傘するくらいなら濡れて帰る!って言いそうなのに。」
「さすがに、あの雨の中傘なしはキツいよ。」
「まぁ、そうだね。で?相沢くんと相合い傘して帰ってどうだった?ドキドキした?」
「し、してないよ!するわけないでしょ!?」
「えー、ムキになるところが怪しいなぁ。」
目をキラキラさせて迫ってくる十月から顔をそらし何となくアイツの方を見たら、目があった。
途端に頬が熱くなり、思いきり目をそらす。
「どうしたの?」
「え?あ、ううん。何でもないの。」
不思議そうに顔を覗き込んできた十月に笑ってごまかす。
目をそらすなんていつもの私らしくない。
いつもの私なら、睨むくらいするのに。
やっぱり、昨日から私変だ。
「珍しいな、お前が目があってすぐにそらすなんて。」
後ろから聞こえた声に、心の中でげっと呟く。
おそるおそる振り向くと予想通り。相沢だ。
「…なによ。あんたと目が合うなんて不吉だからすぐに目をそらしただけよ。」
「ふぅん。そういうことにしといてやるよ。…ほんと、可愛くねぇ奴。」
相沢の言葉に、少しだけ胸が痛む。
可愛くなくて悪かったわね。
そっと心の中で呟いた。
「あ、そうそう。これ、サンキューな。」
「え、あ、うん。別に、急がなくてよかったのに。明日でも明後日でもよかったのに。」
「ん?だって、それお前のお気に入りのタオルだろ?早く返した方がいいと思って。」
「え…。」
彼の言葉に驚く。
アイツの顔を見れば、柔らかい笑み。
鼓動が速くなる。
顔に熱が集まる。
「え、あ、ありがと。」
「おう。」
俯きながら、小さな声でお礼を言う。
差し出されたタオルを、受け取るとアイツは席に戻っていった。
「ねぇ、私の存在忘れてないかな?っていうか、昨日何かあったの?香月、なんかいつもと違うよ?」
十月の声で我にかえる。
「な、何にもないよ!ただ、傘に入れてもらっただけ。それだけだよ!」
「えー、なんか怪しいなぁ。」
十月が、疑わしそうに私を見る。
でも、全然納得できてないだろうけどそういうことにしておいてあげると言ってくれた。
それから、たわいもない話をした。
家でのこと、里岡のこと、宿題のこと。
いつもと変わらない日々。
そう、いつもと変わらない。
一昨日まで感じなかった胸の高鳴りを誤魔化すように深呼吸した。
次の話はなるべく早くあげれるように頑張ります