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錬金術師の魔王討伐  作者: 水晶
~~フィンシア城 召喚編~~
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第五話 城下町

 泣きじゃくる少女を慰めながら城下町へたどり着いた俺達、しかし、当然早朝は人通りが少ないものである、そこで何回かここに来た事がある少女に取り敢えず宿屋へ案内を頼んだ。さて、ここで盗ってきた金貨の出番だ。少女にこの世界のお金の事を聞くと「なんで知らないの?」 って言われたから「俺、辺境の村で育ったんだ」って言っておいた。大抵は魔物などを倒すと落とす、単位は“G”でその他は日本と変わらなかった。それとあの“金貨”実はあれ一枚で貴族の仲間入り、とかでは無く普通にあの色らしい・・・・・・紛らわしいこった。


 それと宝石だが・・・・・・これはマジで金欠になったときに売ろうと思う、持っていてもアイテムウィンドウにしまってしまえば問題は無いんだが・・・・・・どうしても日本人の感覚が強く、なるべく大金は持ち歩きたくはない、そう思ってしまい結局は売ろうとしていた宝石の売却を断念した。で、盗ってきた“G”をよく見ると10000Gと彫られていた、G数は9枚、合計90000Gを持っていることになる。それを少女に見せると何でそんなに持っているの? と聞かれたので素直に「城の金庫から盗ってきた」と答えると何故か溜め息をつかれた。


 そんなこんなで宿屋に着き、店番らしきおばちゃんに声を掛けて一週間分の料金は幾らか聞く、そのおばちゃんは早朝からやってきた白衣の研究者と白いワンピースの少女に疑いの目を向けず、料金を教えてくれた。Gが10000Gずつしかないので料金を払い、両替してもらう、おばちゃんは嫌な顔一つせず両替してくれた。部屋の鍵を貰い番号を確認した後、奥の階段を登り客室へと向かう、真ん中ら辺の部屋の扉と番号が合っている事を確認する、ドアノブに鍵を差し込み鍵を開ける。


 部屋の中は“一人”で過ごすのには不自由はしない程度の広さだった、ベットも“一人用”で直ぐ横には大きめの窓が付けられていて入って来る風が心地いい。


「あの・・・・・・貴方の名前は何て言うんですか?」


「ん? 俺はマコト・キシベ、で、アンタは?」


「私はエーリ・フルンと言います、エーリと読んでください、キシベさん」


「キシベじゃなくていい」


「それじゃあ・・・・・・マコトさん」


「それでいい」


 さて、名前も聞き終わったコトだし、ちょっくら雑談でもしてから寝ますかね?それから少しの間雑談をして主に必要な事などを聞いて、エーリが欠伸(あくび)をしたのを見て寝ることにした・・・・・・。














「ふぁ~あ・・・・・・部屋二人分借りときゃよかったな・・・・・・」


 年頃の男子がいる部屋で、男女が一つ屋根のしたってのはマズイだろうと気づくとエーリがオーバーヒートして使い物にならなくなり、仕方なく部屋は起きたら取る、と言うことにしてエーリには一先ず寝てもらう事にした、だが本人は気を使わせたくなかったようで俺に譲ろうとしたがそれを断わり廊下の壁によっかかりながら迫り来る眠気を耐え続けている。眠気によって閉じかけてきた目を擦り、欠伸が出そうになった時だった。


「マコトさ~ん・・・・・・お待たせしました~」


 頭は寝癖が付いてまるでアホ毛の様だ、これはこれでいいな・・・・・・。


「う~し、飯食うぞ~」


「マコトさんは寝ないんですか?」


「寝たら確実に昼過ぎまで起きてこないぞ?」


「ははは・・・・・・」


 眠気を覚まし、空腹を満たすために階段を降り、おばちゃんの所へ向かった。














「お、サンドウィッチみてーだな」


「みたいじゃなくてそうなんですよ」


 宿屋『ホリープス』の一階にあるテーブルにて生前食べていた食べ物によく似た物を発見し、少しテンションが上がり、それと同時に好奇心も湧いてきた。どうもこの食べ物はサンドウィッチと変わらないみたいだ、味も美味い。


「それでこの城下町には冒険者ギルドってのがあるんだろ? 後でそこに行って冒険者登録ってのをして、クエストを受けりゃあいいんだな? っとそうだ、買い物もしないとな・・・・・・」


 定食に着いてきたコーヒー? を飲み干しテーブルに置く、そこで思い出したかのように予定を改めて確認する。


「はい、直ぐに終わりますけど私は身分証明になるものを持っていないので少し長くなりますよ、最初はランクが低いですからマコトさまには簡単でしょうね、あんな魔法を魔法名だけで発動させるなんて!」


「え・・・・・・ああ、そうだな、それよりエーリは何か魔法が使えるのか?」


 ゲームの中じゃ魔法は詠唱しなかったし・・・・・・まぁ、いいや楽だし。


「えっと回復魔法は中級まで習得してます、あ、補助魔法も同じ程度に・・・・・・でも攻撃魔法は使えないんですよ・・・・・・だから短剣で攻撃するしかなくて魔物を倒すのは大変です」


 魔物を倒した経験はあるのか、なら普段は補助役として後ろに着いていてもらうか。


「そうか、なら魔物と戦う時は俺の後ろで補助役を任せる、頼んだぞ?」


「分かりました、マコトさん」


 その後俺達は食事を終え、冒険者ギルドへ向かうために城下町へ繰り出していった。














「おっちゃん、この店で一番いい短剣は無いか?」


 早朝とは様子が一変し、人で賑わいを見せている城下町の風景は逆に騒がしい位だった。道具屋で念願のポーション造りに欠かせない材料を購入し、これからポーションを創るのだと思うと非常に胸が踊る、エーリは俺の機嫌が良い理由が分からずさっきから疑問の表情だ。次の目的地、武器屋を発見しエーリの短剣を買うことにした、流石に丸腰で魔物を前に魔法は唱えられさせられない、武器ぐらい持っておいて貰わねばな。


「あの、マコトさんいいんですか? 短剣を買ってもらって・・・・・・」


「いいってコトよ、気にすんなって素直に受け取っておけ」


 少し悩んだ後、照れた様子で「ありがとうございます」と言った、俺はわしゃわしゃと頭を撫でてやった。呼びかけてから少しして店の奥から体格の良い男がやってきた。


「あいよ! コイツがウチで取り扱っている最も良い短剣だ、勿論値も貼るがな」


 見せられた短剣に小さな声で魔法を発動する。ーーチェックーーこの魔法はあらゆる物の情報を確認する事が可能な、使い勝手が良い魔法だ、それに消費MPも少なくて済むから結構重宝する。さて、この短剣の情報は・・・・・・ふむ、どうやら嘘偽りは無いらしい、攻撃力は高いし、何より属性が付属されている事が大きい。


「これは凄いな・・・・・・よし、これ幾らだ?」


「へぇ・・・・・・アンタ、この短剣の質が分かるのかい? っと値段は350000Gだ、どうだい? 買うかい?」


「いや、止めとく、手持ちが足りなさすぎる、他にはないか? なるべく60000Gくらいで頼む」


 随分と高いな・・・・・・まぁ、それほど質が良かったんだがな、あれくらいの値段はするだろう。・・・・・・近くにカジノでも有れば良いがな、ガッポリ稼げそうだ、運も倍になってるしきっと勝ちまくって大金持ちになれるかもしれん、そうなったらエーリの装備を整えてやれるし、アイテムだって買える! まさに一石二鳥だな!


「それならこれはどうだ? 値段は50000Gだ!」


 差し出された短剣は刀身が魔剣と同じく紅い、鞘の色もとういつされていて同じく紅い。再びチェックを発動させ情報を確認する、この値段でこの性能か・・・・・・火属性、攻撃力は短剣にしては少し高い位だ、うーん・・・・・・よし!


「買ったッ!」


 50000Gを取り出しカウンターに置く、するとおっちゃんは大きな声で「まいどッ!!」といったのでヒーリがびっくりして飛び上がったが、俺は気にしなかった。受け取った短剣をエーリに渡す、ペコリと頭を直角に下げる、そこまでしなくてもいいんだけど。おっちゃんがオマケで付けてくれた鞘を取り付けるためのベルトを付ける、だが白いワンピースに短剣を装備しているとなんだか不格好だ。


 エーリも中々納得が行かないのか難しい顔をして唸っている、それは見かねたおっちゃんが店の奥に一旦戻っていって戻ってきたかと思うと肩から斜めがけにするタイプの物を持ってきた。


「コイツを付けてみな、どうだい? 大分マシになってると思うが・・・・・・」


「わぁ~、これがいいです!」


 余程嬉しかったのかエーリはぴょんぴょんとウサギみたいにジャンプしている、正直顔がかなり幼く見えるため顔だけでは年は十歳位に見える、なのでそんなにぴょんぴょんされると完全に子供にしか見えない、背は160cm位あるんだけどな・・・・・・胸はちっさいけど。


「分かった、じゃあおっちゃんこれ持ってくぜ?」


「誰がおっちゃんだ、俺にはちゃんとグリー・ミリアンっつー名前があんだよ」


「スマンスマン、ミリアン、また来るわ」


 うんうんと頷くミリアンはカウンターに置いたGを取り、(ふところ)に毎度ありと言う顔でしまい込んだ。ミリアンの武器屋は壁に剣や槍、その他様々な武器が飾られていたり置かれていたりしていて、中にはプレートに聖剣と書かれ、展示されていた銀色に輝く剣があったのには驚いた。今度来たときはもう少しゆっくり見ていこうかな? と一瞬考えたが今は短剣を買った事と宿屋代で残りの所持金が約40000、こりゃ、ホントにカジノ行きかなぁ? ・・・・・・そう言えばギルドがあるじゃないか! 


 そこでクエスト受けて成功させて報酬を貰ってその繰り返しでランク上げていって行けば、クエストが難しくなる分報酬が増えていく・・・・・・そうと決まったら早速ギルドへ突入だ!


「エーリ! 冒険者ギルドへ案内しろ! 今直ぐにだ! 即! そして迅速に! 風、いや光をも超える速さで冒険者ギルドへ案内しろ! 嫌とは言わせんぞ! 断じて!」


「えええええええ!? マコトさんどうしたんですか!? って引っ張らないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!」














「ここがギルドか・・・・・・ふむ、早速入ってみよう」


 エーリは極度の疲労で膝に手をつき大きく息を吸い込み、吐く、それを繰り返し何とか喋れる状態まで回復した。


「ぜぇ・・・・・・はぁ・・・・・・何で疲れて無いんですか・・・・・・」


 エーリを引っ張り回し、結局は城下町を一周してしまった、そして漸く冒険者ギルドと書かれた看板を発見し休む事無く入口の扉を開ける。余談だが、俺に全力で引っ張り回されるエーリにすれ違う人々は同情の目を向けていた、御陰でエーリは精神的ダメージも蓄積されていったとさ・・・・・・。Gあんまり無いけど後で何か(おご)ってやるかな、何か可哀想に見えてきた・・・・・・。


 何を奢ってやろうかと考えながら俺は木製で出来ている少し大きい門を通り抜けて行き、その後に呼吸を整えたエーリが小走りで門を通り、俺の後ろに着いた。そして俺達は冒険者ギルドの建物内に足を踏み入れた・・・・・・。

 誤字脱字が有りましたら報告よろしくです。

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