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錬金術師の魔王討伐  作者: 水晶
~~フィンシア城 召喚編~~
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第四話 フィンシア城からの脱出

 ノーパソに変えたからでしょうか? 小説の執筆速度が上がっております。


 まぁ、スペック低すぎてニコ動が重いから見なくなって、その代わりに小説を書いているからでしょうね。

「邪魔だッ! てめーらに構ってる余裕はねぇんだっての!」


 目の前を阻む邪魔者達を立て続けに魔剣を振るい、ある者は腕を切られ、またある者は真っ赤な刀身の剣で胸を貫かれていった。地下からの一本道、そこでは兵士達がゴチャゴチャしていて狭苦しかった通路に魔法で道を開き、難無く突破していった、後は裏口から逃げ出すだけ、だが兵士のエンカウント率が激しく中々目的地へとたどり着けない。


 錬金術師には盗賊の様に身を隠す魔法やスキルが無い、だからこうして正々堂々目の前から魔法をぶっぱなしたり魔剣を振り回したり・・・・・・それでも中々疲れや疲労と言った症状が襲ってこない、恐らくステータスを倍にしたからだろう、これはこれで助かる。


「見えたッ! もう直ぐだがまだ走れるか!?」


 遠くに確かに裏口と思われる扉を発見した、賭けてみるか・・・・・・入って行き止まりだったら再度、敵を蹴散らしながらの脱出となる、これが何回も繰り返されると流石に俺のMPの減りも大きくなってしまう、頼むぞ・・・・・・裏口であってくれ・・・・・・!


「大丈夫です! こう見えても結構体力には自信がありますから!」


 それを聞いて安心したよ、だったらもう少し走っても大丈夫そうだな、と言っても余り無理はさせないけどな・・・・・・俺もそこまで鬼畜ではないぞ?兵士とはエンカウントすること無く扉まで難無(なんな)く|辿り着く事が出来た。後ろからの追ってが来ている様子もない。不思議に思ったが扉を開ければ出口かもしれないという誘惑(ゆうわく)に負け、その思考を頭の片隅に弾き飛ばしてしまった。そして俺は最悪の可能性を考えず扉の取っ手に手を掛け、そして開いてしまう・・・・・・。


「誰もいないな? よし、あそこから城の外へ出られそうだ・・・・・・」


 少女はコクりと頷く、そういえばまだ名前を聞いていなかったなぁ、一段落付いたら聞いておこうかな。なるべく音を立てることなく進み、もう直ぐ城の外へ出られると言う所まで行ったところで、事態は起きてしまった・・・・・・俺が怪しむ事なくここまで来てしまったが為に・・・・・・。突如、あらゆる場所から兵士が湧いてくる、先程出てきた扉からゾロゾロとそれぞれ剣や槍などを構えてまさに追い詰めたぞ・・・・・・と言う顔でこちらへ近づいてくる。何でこんなちっぽけで子供が思いつきそうな罠に引っかかったんだろうな? スゲェ恥ずかしいぞ。


 少女が白衣の(そで)をぎゅっと握る、袖を伝わって震えているのが伝わってくる、俺は小声で兵士達にも聞こえない様な声で少女に向けて言ったーー何とかしてやるさ・・・・・・ーーとは言ったものの・・・・・・どうやってこの状況を切り抜ける? 既に城を抜ける道を塞がれ、戻ろうともその道は当然の如く大量の兵士により塞がれている。ここはやはり一点突破か? 場合によっては魔銃も使って戦うことになるだろうな、恐らく銃何てこの世界には無いだろうから性能なんて理解できないだろうし・・・・・・運が良ければ怯んでくれるはずだ、だが逆に攻め立てられる可能性も低くはない。


 でもどうにも不可能な事がある、それはこの少女の守りだ、少女は戦えないし俺は兵士を倒す事で少女まで目が届かない、多少は可能だが・・・・・・そうだ、あるじゃないか、戦力を増やす方法が! よし、これで少女の守りは出来た、後は城の外へと続く道を阻む兵士を倒して突破していけば後は城下町に隠れるなりなんなりして時間を稼ごう、(かくま)ってもらえば最低でも一日は隠れられるはずだ。脳内で策を完成させた瞬間、兵士達の山から一人、見覚えのある赤い髪で長身の女性兵士がこちらに鎧の音を立ててやってきた。


「勇者殿、何故貴方がこんな事を? 私にはそれがどうしても分かりません」


 その正体は俺と死闘を演じたクリア・リクライさんだった・・・・・・。


「へッ、地下でこの子を見つけたんだよ、この子にはあの牢獄は狭すぎる。だからこの子に広い世界を見せようとだな・・・・・・」


 この世界、グランアース、そしてフローリック大陸、この少女は俺に着いてくることで様々な国や村を観ることができる、そしてこの少女の故郷の村もな・・・・・・。俺の答えに(いぶか)しむ様子のリクライさん。


「その少女がフィンシア王の奴隷だとは我らも重々承知しています、しかしだとしても兵士の殺害は流石に認めるわけにはいきませんな・・・・・・我らはフィンシア王の(めい)により勇者殿、いや! マコト・キシベ! 貴様をここで処刑する!! 皆の者! フィンシア城兵団隊長クリア・リクライが命ずる! 犯罪人マコト・キシベを処刑せよ! 行け!!」


 不味い事になったな・・・・・・兵士共が俺を殺しに掛かってくる、逃げ場はない、作るしかない。


「くそッ! 殺人したのは悪いとは思ってるけど奴隷を買ってるフィンシア王はどうなんだ!?」


 兵士を切り倒し、腕組みをして俺に向かって処刑宣言をぶちかましたリクライさんに怒鳴り声を挙げて講義するが、無言でスルーされた、最早俺の事は犯罪者としか見ていないようだ。


「スルーかよ! いいだろう・・・・・・お前らがその気ならこっちにだって策はあるぞ!! ホムンクルス召喚! キラーゴーレム、キラースネーク、キラーナイト!!」


 地面に魔方陣から、斧を持った巨人、鋭い牙を持った巨大な蛇、槍を装備している騎士がそれぞれ召喚された。


「お前らッ! 暴れ尽せ!」


 命令とは言えない命令を下し、ホムンクルスが兵士達を殺戮し始める。“キラー”と頭文字に名の付くホムンクルス達の特徴は全身が深い海の様に蒼く、眼が紅蓮の炎の様に紅い、そして何よりどのホムンクルスよりも圧倒的な力を誇る“兵器”である。先程召喚したのはどれも攻撃、防御共に特化した奴ら、高い攻撃力で目の前の敵を薙ぎ倒し、高い防御力であらゆる攻撃に耐える事が出来る優れた錬金術師の最終兵器と言っても過言ではない。


「お、おい! 何だよアレ!」


「こいつら強いぞ!? まともに戦って勝てる相手じゃねぇ!」


「ちッ・・・・・・うろたえるな! 囲んで体力を削れ!」


 慌てふためく兵士達に命令を下すリクライさん、それに答えるかの様に兵士達が落ち着きを取り戻していく、だがいくら囲んで体力を削っていった所でキラーホムンクルス達にはダメージ1程度喰らった様な物だ、どんなに頑張ったって圧倒的な力の前には無力だ、戦わない方が身の為だぞ・・・・・・。


「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 フッ、それ見たことか・・・・・・。


 だが兵士を倒しても倒しても湧いてくる、全く、キリがないな・・・・・・少女はキラーナイトが守っているから心配無いが、残りの二体と俺だけでこの戦況はまぁ、巻き返せるけどかなりの数の死人が出ると思うからなるべく使いたくはない、魔銃だって未だに使ってないし・・・・・・いや、使えば楽なんだけどね? こっちもMPの消費に気を付けて魔法を発動しないといけないからボコスカ唱えられない、魔銃だってMP消費して撃たなくちゃならん、白衣が無かったら今頃MP尽きてるな、確実に。


 あー、こんな時ポーションさえあれば・・・・・・でも色々と物を揃えなきゃならない、ポーション入れるビンとか材料とか・・・・・・うわぁめんどくせぇ。ちなみに錬金術師が造るポーションは他の市販のポーションとは効果が倍近く違う、価値が高いからプレイヤー同士での取引は高値で行われていた、錬金術師は数が少ないからな。まっ、どうにかしてこっから逃げて安全な隠れ家でも見つかったら、材料を揃えてポーション造ってみるか・・・・・・さてどれ位で売れるかな? くっくっく・・・・・・。


「あの! 何か打開策は無いんですか!? このままじゃジリ貧ですよ!」


「打開策はある、だがそれを使うと大勢の人間が死ぬぞ? それでもいいのか?」


 少女は少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた、んじゃあ、許可も降りた事だし! 派手に行きますかねぇ!! ・・・・・・威力でデカすぎて少女もろとも御陀仏とかはやらないからな?


「吹き飛ばされんなよ!」


「は、はい!」


 MPを半分程まで削って召喚したホムンクルス達が魔法に巻き込まれるが、消えてしまっても後で再度召喚できるから問題無い。切りかかってきた兵士の剣を弾き返し、ノックバックしている間に魔法を唱える。そうはさせんと兵士達が束になって切りかかってくるが、キラースネークの長い尻尾に吹き飛ばされ、キラーゴーレムの巨大な斧で三人程がぐちゃりと不気味な音を立て、潰される。そして戦えない少女に一人の兵士が余裕の表情で月明かりに照らされた槍で突き刺そうとする・・・・・・。


「なッ!? ぐぎゃッ!!」


 その兵士は後ろからキラーナイトが迫っていることに気づかず、無防備にも背を見せてしまった、そこにキラーナイトは容赦無く槍を一閃し、鎧ごと腹を切り裂き、兵士の身体を上と下、上半身と下半身に分断した。兵士は地に倒れ伏し、叫ぼうにも痛みに声を挙げられず、口を魚のようにパクパクさせるのみ、下半身はぴくぴくと痙攣しており切り口からは上半身と同じく(おびただ)しく紅い血が流れ出している。兵士が息絶えた事を確認し、他の敵を狩りに行くキラーナイト、それとほぼ同時に魔法名を唱え終わり、“最凶”の魔法が発動した・・・・・・。ーーメテオーー錬金術師“最凶”の魔法、空から巨大な隕石を降らせ、直撃するとそこにはぺんぺん草一本すら生えてこない・・・・・・。


 掠っただけでもその威力は上級魔法五つ分に匹敵する、魔法使いが協力して巨大なバリアーを発動させないと耐えきることは不可能に近い、それが魔力を弱めているとはいえLV200で魔力倍、威力は標準、といった所だろうか? 生前はこれ唱えまくってモンスターグループを一掃して経験値を荒稼ぎしたもんだ・・・・・・今思えば懐かしいな・・・・・・。そう考えている内にメテオが直撃し、激しい轟音に俺達は咄嗟に目を閉じ、耳を塞いで耐えた。


「あっぶね~、こっちも二重でバリアー張ったけどまさか一枚破れてもう一枚にヒビが入って破れそうになるなんて・・・・・・威力デカすぎだろう」


 メテオに巻き込まれる前に俺と少女がスッポリ収まるくらいのバリアーを張っておいた、少女はあまりの出来事に何が何だか分からず唖然としている、頭の上に?が見えそうだぞ。


「あ・・・・・・あわわわわ・・・・・・」


「あ~・・・・・・もう大丈夫だ、さっ、早いトコこの城から出よう?」


 少し威力がデカすぎたのか? それとも一瞬で沢山の命を奪ったから? 多分後者だろう。バリアーを解除し、周りを見渡す。生き残っている人間は俺達のみ、兵士達は恐らく消滅したか・・・・・・それにしてもバリアーを張っていた場所にはちゃんと雑草が生えているが、張っていない場所は酷い物で雑草は勿論生えていない、メテオの着弾地点には大きなクレーターが出来上がっている、城壁はボロボロで無残な姿になっていた。


「・・・・・・そこに居るんだろう?“シンシラ”」


 先程兵士を戦っている時に一瞬だが姿が見えたので試しに言ってみると、やはり裏口の扉から出てきたのは巫女服を着た、何とも言えない複雑な表情をしたシンシラだった。


「・・・・・・アンタの言いたい事は分かる、言いたくないのなら言わなくてもいい・・・・・・それより、フィンシア王・・・・・・アイツにこう伝えてくれ、「俺達の事は諦めろ、そんなに勇者が欲しいのなら、別の勇者を召喚しろ」・・・・・・とな、それと・・・・・・短い間だったが世話んなったな、それじゃあな、シンシラ」


 城下町へと繋がっているだろう道へ身体を向け、歩き出す、少女は雰囲気を察してか先程から無言のままだ、そして数歩歩いた時だった・・・・・・。


「フィンシア王には伝えておきます! その子をよろしくお願いします! マコト様! お気を付けて行ってらっしゃいませ!!」


「わーったよ、シンシラも元気でな! フィンシア王にムカついたら嫌がらせでもしとけ! そんじゃあな!!」


 大きく手を振るシンシラに俺も同じく手を振り返す、シンシラの瞳には遠目で見えにくかったが少し、涙が滲んでいた・・・・・・。手を振っていると、少女が大声で叫び出した。


「シンシラさん! 今までありがとうございました!! お元気で!!」


 この少女もシンシラには世話になったらしい・・・・・・叫び切った後、ボロボロと涙を零して泣き出してしまった。俺はそっと抱き寄せて頭を撫でて慰めてやった・・・・・・。何時の間にか月は姿を消し、朝日が昇ってきていた・・・・・・それは俺達の旅の始まりの合図でもあった・・・・・・。














 あの人が大量の兵士を殺害しても、私は何も思わず、ただ、ただただ感謝の気持ちで一杯だった。城の中で孤立していた私にあの人は優しく接してくれた、短い期間だったがそれでも私には充分だった・・・・・・。別れの時はつい、悲しさでうっすらと涙を浮かべて泣きそうになってしまった。あ、そういえば言うの忘れてたな・・・・・・「ありがとう」って・・・・・・まっ・・・・・・いいかな・・・・・・出来れば言いたかったけど・・・・・・。


 あの子はちょっと内気な子ですから優しく接してくださいね? マコト様・・・・・・頼みましたよ。貴方が来てくれたおかげで、ちょっぴり元気になれました・・・・・・あの子を助け出してくれて本当に・・・・・・。ーーありがとう・・・・・・ーー

 誤字脱字がありましたら報告よろしくです。

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