第三話 模擬試合だったハズの殺し合い
今回は早く投稿できたと思います・・・・・・多分。
「勇者殿、これから先は手加減が効かぬため勇者殿も全力で来てください」
「へぇ・・・・・・漸く本気を出したって訳かい・・・・・・面白いじゃねぇか」
口ではそう言っているが内心はビクビクしてる、俺も全力で死闘を演じてやりたいが・・・・・・召喚 されてから約一日で魔法は使えるわ城の中で最強の兵士と五角に戦って本気を出させる、これだけの事 があれば、誰だって怪しまずにはいられないだろう。
「しかし、戦うには少々この炎は邪魔ですな・・・・・・レイン」
リクライさんが小さな声で何か呟いたかと思えば、ゴウゴウと音を立てて燃え盛る巨大な炎の頭上から少し強めの雨が降り注いだ。しかし、巨大な炎は雨を蒸発させ依然として燃え続けている、てゆーか白衣がビショビショだよコンチクショウめ。
「・・・・・・やはりこれ位では消化できませんか・・・・・・ならば、ウォーターボム!」
リクライさんは両手を燃え盛る炎に突き出し、魔法を唱えた、名前からして水属性の魔法だろう。両手から水球が現れ、炎に向かって真っ直ぐ発射された。
「ん・・・・・・? アレは拡散するのか・・・・・・」
発射された水球は炎に当たる寸前で止まり、空中へ散り散りに拡散した。空中に留まっている小さな水球達は未だに効果が続いて、弱めの雨を降らせ続けている、その雨が水球に当って吸収されている、当然巨大になると吸収する範囲の広がる。
「・・・・・・そろそろでしょうか」
リクライさんがそう言うと指をパチンと鳴らした、すると空中で雨を吸収していた水球達が一斉に破裂した、それは威力は申し分なかった。大量の水を浴びた炎は水を蒸発させる事虚しく、大量の水によって消化されてしまった。
「さて、これで戦えますね・・・・・・?」
「アンタ戦闘狂か? まぁいいや、早く終わらせようぜ・・・・・・?」
再び両者が剣を構える、直後、当たり一帯を静寂が支配する。暫しの静寂、始めに動いたのは静寂に耐え切れなかったリクライさんだった。
「はッ! やッ! せいッ!」
「うおッ!?」
剣の間合いに入った瞬間にリクライさんが三連続の攻撃を仕掛けてくる、しかし先程とは威力が段違いだ、こっちも本気を出さないと切られる・・・・・・!
「フラッシュ!」
眩い光がリクライさんの視界を奪う。
「くッ! 目潰しか!」
「へへッ、悪いな、こっちも負けるわけにはいかないんでねぇ・・・・・・アイス・スピア!」
目潰し状態で視界が見えないリクライさんに氷の槍を放つ。
「っ! らあッ!」
前方から気配を感じたのかアイス・スピアを剣で弾き落とした。
「後ろがガラ空きだぜ?」
「なッ!?」
アイス・スピアを弾き落としているスキにリクライさんの背後に回り込んで、卑怯ではあるが後ろから討ち取らせてもらうぜ!
「負けられん! インパクトブレイク!」
「ぐっは!」
驚くべきスピードでこちらを向いて、剣を振りかぶっているモーションの俺は近距離から魔法をぶち当てられた、かなりの威力で一気に壁まで吹き飛び、叩きつけられた。
「ぐあッ・・・・・・! はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
ーーステータスONーー
俺にしか見えないウィンドウを開いてHPを確認する、するとHPはさっきの魔法で三分の一にまで減っ ていた、魔法使い系の職業はHPと防御力が極端に少ないから攻撃を受けると戦士系の職業よりHPの速 い、代わりにMPがこれでもかと言うほど多いのだが・・・・・・。
ーーステータスOFFーー
「近距離から・・・・・・スキルを当てられるとはな・・・・・・ぐッ」
魔法とは違うスキルはLVUPする事によってSPと呼ばれるポイントが増え、それをスキルウィンドウでそれぞれのスキルにそのSPを振り分ける事によってスキルを取得出来る。別な方法としてスキルブックと呼ばれる本を読む事で覚えたり、一定の条件が揃うと習得できたり・・・・・・他にもあるが今はそんな悠長に説明してる場合じゃないな。
「よ・・・・・・っと、ヒール!」
衝撃で多少のひびが入った壁に手を付きながら立ち上がり、初級回復魔法を唱えてHPを回復する、さ てと! こっちも本気でやらないと恐らく死ぬので、これからは周囲がたった数日経っただけなのに、 何でこんなに強いんだ? 的な視線でジロジロ見られようが何だろうがフルパワーで戦ってやろうじゃ ねぇか!! 覚悟しろよ・・・・・・リクライさんよ!!
「お返しだ! アイスマシンガン!!」
魔法を唱える、突き出した両手からは拳程の大きさの氷が回転しながらもの凄いスピードでリクライさんへ発射されて行く。
「くッ! ぐあッ!」
リクライさんが一度発射された氷が命中する、すると一瞬だけ動きが止まった所を再度、他の氷が命中する。
「っはぁ! 次はコイツだ! ドラゴンスプラッシュ!!」
何度か命中させて態勢を崩し、その瞬間に魔法を叩き込む。リクライさんの真上に魔方陣が現れ、態勢を立て直したリクライさんが何処から魔法が来るのか視線を巡らしている時、魔方陣から竜の形をした水流が頭上から降り注ぐ。
「そうら追加だ! サンダースパーク!!」
竜の形の水流に電撃が追加され、更に威力が増して標的に轟音を響かせながら襲いかかるその様子は、まさに竜その物。そして、衝撃で水が飛び散り、誰もが驚愕の顔をして一点を見つめていた、その先には・・・・・・。
「・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」
「オイオイ・・・・・・あれを受けてまだ立ってるのかよ・・・・・・」
猛攻を耐えきり、尚且つその二本の足で地に未だに立ち続けている“戦士”が一人・・・・・・。
「ーーダメージ・・・・・・」
ゆっくり、ゆっくりと、傷だらけの両手をコチラに向ける・・・・・・。
「・・・・・・リバースーー」
「っ!? ああああああああああああああ!!??」
突如として俺の身体の節々が悲鳴をあげた、激しい痛みが身体を駆け巡る。
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・」
床に倒れ込み、激痛に悶えていると何処からともなく暗黒の闇が現れ、俺の意識は戦い尽くした戦士が
倒れ込む瞬間を目に捉えた後、ブラックアウトしていった・・・・・・。
「ハッ!? 知らない天井・・・・・・いや、一回見たことあるな」
つまらんネタはさておき・・・・・・あの後どうなったんだ? 確か魔法で撃破した様に見えたけど実は耐えきってて、スキル? 魔法? のどっちかをぶち込まれて・・・・・・痛みで意識がログアウト
しちまって・・・・・・最後に見えたのが倒れ込むリクライさん・・・・・・だったかな?
「イテ・・・・・・何だ魔剣か・・・・・・そういやぁ魔銃は・・・・・・有った」
寝返りを打とうとしたら今や相棒となった剣の鞘が顔にコツンとぶつかる、白衣の内側に入っているホルスターの中に魔銃が仕舞われている事を確認する。ベットからムクリと起き上がり窓の外を見ると月が出ている・・・・・・と言うことは今は夜か? だったらそろそろあの少女の所へ行こうか。
「っと、何か置き手紙位置いておこうか・・・・・・お、丁度良い紙とペンが・・・・・・」
部屋に配置されている机の上に紙とペンを発見し、取り合えず日本語で書いておく。
「・・・・・・よし、これで良いだろ」
手紙を書き終わり机の上に置いておく、多分シンシラさんが見つけてくれるだろう・・・・・・。そうして俺は装備を確認し、静かに扉を開けて部屋を出て少女が居る地下へと向かっていった。
「監視兵が一人も居ない・・・・・・? これは都合が良いのか・・・・・・?」
不思議な事に居るはずの監視兵が消えており、地下は無人だった。不思議に思い罠の可能性も考えたが勇者である俺に、罠を仕掛ける理由が見当たらないのでその思考を頭の片隅へと追いやった。
「お~い、約束通り来たぞ~」
錆び付いて開けるときに少し力を込めなければならないこの扉に、イラつきながらも扉を開け放つ。
「あっ・・・・・・来てくれたんですね」
「やぁ、そんじゃあ早速ここを・・・・・・」
ここを出よう、と言おうとした時だった・・・・・・背後からガチャガチャと金属製の音を立て、何者かがこちらへと近づいてくる、まさか監視兵が戻ってきたのか? いや、そんな事はいい、それより気づかれる前に倒すのがベストか・・・・・・だがどうやって倒す? ここは一本道だ、無闇に戦って援軍でも呼ばれたら魔法を使って倒すしか無い、しかしそれだと音で他の兵士達に気が付かれる。
俺は鞘から無言で魔剣を抜く、少女は何をするのか分からないようで不安の顔をしている。俺は少女の頭に手を置き撫でる、少しでも不安を取り除くためだ、決して下心などは無い! ましてやイチャイチャしようなどとは微塵も! これっぽちも思っていない!
「兵士がこっちに向かってくる、俺はそいつを倒すから・・・・・・大丈夫だって、やられたりはしないさ・・・・・・約束する」
少女はコクりと頷く、それを見て少女の頭を撫でていた手を離す。少女の頭を撫でていた手を離すと少しだけ、少女は寂しそうな顔をした、そうか・・・・・・もう長いこと頭を撫でられてなかったんだな・・・・・・。
「また後でやってやるからさ・・・・・・そんな顔しないでくれよ・・・・・・な?」
「分かった・・・・・・でも、どうして兵士を倒さなくちゃいけないの?」
「どうしてって・・・・・・この状況を第三者が見てみろ、明らかに俺が兵士が居ないうちに奴隷少女を攫いに来たように見えるだろ?」
「・・・・・・ぷっ」
何故そこで笑ったし。
「あのなぁ・・・・・・」
「勇者殿、そこで何をしているんですか?」
あ、ヤベ見つかった・・・・・・。
マズイな・・・・・・今の俺は魔剣を抜いている、それでこれまた第三者から見れば今度は俺が少女を
切り殺そうとしている様に見えるって訳だ、一応この子は王の奴隷だからなぁ、場合によっては俺が切られる可能性が・・・・・・。
「勇者殿、いくら貴方であろうとも流石にその行為は頂けませんな・・・・・・これは王様に報告させていただきますぞ・・・・・・?」
「報告なんて出来ねぇよ」
「ほぉ? それはどうして?」
恐らく俺の背後ではニタニタと気持ち悪くにやけている兵士が立っている事だろう、この後俺に無残に
殺されるとは思っていない口ぶりだ、きっと何か有るのだろう。
「俺に殺されるからだよ」
「・・・・・・いいのですか? 私を殺せば他の兵士達に知られますよ? 仕組みは教えませんがね」
「知るか」
魔剣を一度振るい、兵士の首を飛ばす、ごとりと音がして次にそいつの身体が地に倒れる。
「っ!? な、何をしてるんですか!?」
「うぇ、流石に人を殺すのは精神的に・・・・・・うぇ」
「倒すって言ってたじゃないですか! どうして殺すんですか!?」
少女が俺の胸ぐらに掴みかかってくる、まぁ普通は目の前で人を殺されたら誰でも多分こうなるか。
「俺に着いてくるんだったらこの先多くの人を殺すだろう、それが耐えられないんだったらここに残るか、それとも着いてくるかの二つに一つだ」
「・・・・・・分かりました、多少の事は我慢します、けど余り多くの人は殺さないであげてください、それなら着いていきます」
「分かった、承知しよう」
少女は胸ぐらを掴んでいた手を離した、その瞬間だった・・・・・・。
「勇者を殺せ! そいつは最早犯罪者だ!」
「数で押せ! 我らでは一対一では適わん!」
響いてくる数々の声、アイツが言っていた事は本当だったのか・・・・・・!
「すまない、どうやら約束を破る事になるかもしれん・・・・・・」
「・・・・・・こうなった時だけです、大勢の人を殺すのは・・・・・・」
開いている片手で懐のホルスターから魔銃を取り出す、少女はこれが何だか分からないようでまじまじと魔銃を見つめていた。
「それは?」
「これは俺の武器だ、強いんだぞ? こう見えてもさ・・・・・・てゆーか最初に俺に会ったときどう思った? この格好」
「えっと・・・・・・研究員かな? って思いました」
「だよなぁ・・・・・・」
この白衣結構気に入ってるんだけど・・・・・・売って他のを買うのは神様に悪いし・・・・・・。
「それじゃ、時間がないから手短に話す、作戦は強行突破だ、これなら直ぐに突破出来る」
「はい」
「俺が魔法を唱えて蹴散らしていくから君は俺の後ろに着いてくれ」
「分かりました」
さぁーて、勇者に刃向かうとはてめーら何様だ、つーことでお仕置きだ、覚悟しやがれ。
俺達は部屋を出て、強行突破の作戦を決行した・・・・・・物語はまだ始まったばかり・・・・・・。
誤字脱字がありましたら報告よろしくです。