オーロラのおと
女子チームの入浴タイムだった。
「秋音!なにずーとぼけっとしてるの?!」
そう言われて我に帰ったような帰っていないような。
「ごめんごめんー、この温泉疲れ取れそうだよねー」
なんて、この湯気のせいにしてみたものの。身体より心の熱の方が下がりそうにはなかった。
あの後、階は
「あ、ご、めんな!秋音!行こか!」
しまった、、と言うような
そんな横顔を見ながら皆の元へ無事に辿り着いたのである。
何で私、抱きしめられたんだろう
何で私、ずっと優しくされるんだろう
何で私、階の胸音が離れないんだろう
やばい。のぼせる。
皆の後を追い、さっと入浴を終えた。
その後の自由時間では、ホテル内のお土産屋を見たり、卓球や遊びが出来る所があったので、秋音はこっちとお土産を見て周り、母と父へのお土産を買った。
就寝は22時、皆疲れているのか昨日よりも寝息が聞こえるのが早かった。
1時間 2時間
秋音は何度天井と隣で寝息をたてるこっち、を見ただろう。
眠れそうになかった。
飲み物買いに行こうかな
ホテル内のロビーに自動販売機がある。そこで水でも買おう。
エレベーターで一階へ向かいロビーへ向かった。
もうさすがにこの時間だからシーンとしたロビーに、ガチャン。と飲み物が落ちた音がした。
階くん??
それは自動販売機でコーラを買っている階だった
「どうしたの?」
「いや、寝れんくてさ」
「私も」
「そうか
秋音ちょっとテラスでーへん?」
「うんいいよ」
私の水も調達し、ロビー奥にあるテラスへ出た。
小樽の街明かりを見下ろせる位置にあるこのホテル。
小樽の夜景に思わず見惚れてしまっていた。
「寒ないか?」
「うん、大丈夫だよ」
はっとした。どれけらい見惚れていたんだろう。
階は何も言わずに隣に居てくれたけど、何を思っていたんだろうか。
「ねえ、ずっと不思議なんだけどさ。どうして優しく、してくれるの?」
ずっと疑問だった事。ずっと優しさを向けてくれる事、抱きしめられた事。
この街明かりの一つの灯りにでもなれた気がしている今。聞けそうな気がした。
「同じ、な気がするから」
「同じ?」
「秋音さ、高校入る前から、あそこの河原座ってたやろ?
俺、こっち引っ越してよくあそこ通るようになって、見ててんお前の事。なんとなく同じような気がした」
びっくりしすぎて声を出す寸前に夜中な事に気づき引っ込め、変な事になっしまった。
階に見られていた恥ずかしさとむず痒さが走ったが、むしろ肯定の感覚が秋音を刺激するのを確かに感じていた。
「同じってどんなの?」
「うーん。うまいこと言えんけど。何かを探してるような」
なんとなく腑に落おちてしまった私に、階は言った
「いや、言いたくなかったら言わんでいい。話したかったら話したらいい。
あ!秋音!!オーロラや!」
街明かり、星屑の果ての海の空
黄色、赤、青、何色。と決められない間違いないオーロラだった。
す、すごい!まさか見れるなんて
低緯度オーロラ。と呼ばれるものらしい
私の悩みなんか砂のように小さい気がした。
そして何より、階が今。隣に居て私の事を見てくれていた事。
暗闇のオーロラのように、広がる初めての感覚だった。
自分の宿命のこと。両親のこと、途中泣きそうになるのを堪えながら、階は心配そうにずっとゆっくり聞いてくれた。
「そうか。」
階はそう言って以降話さなくなっしまった。
嫌われただろうか、やっぱりこんな話しない方がよかったのかな。
と内心焦りながら海の底に消えそうなオーロラを眺めていると
「秋音
一緒におらんか?」




