階のおと-少年-
3分。
階は時計の針と睨み合っていた。
六年生の階にとって、カップ麺をまつ3分
は空腹を満たせるという希望と。
一人の夜。を不気味に刺されるようなそんな時間だった。
母親は夜の接客の仕事をしていた。
夕方学校から急いで帰ると大概化粧を厚くしており、その横に座り夜から学校までの出来事を話す。
友達と流行っていること、習っている図形のこと、そして学校行事プリントの報告
その時間は階にとって唯一であり、母を感じれる時間であった。
テレビの音がなければ寝れなかったので、部屋の明かりは消すもテレビは小音でつけていつのまにか眠りにつくのが毎日だった。
そして朝起きると大概母は帰宅して寝ていて、かなりの酒の匂いにまみれた身体に布団をかけてあげて、置いてくれているパンを食べ学校へ向かうのだった。
いつものように、学校の二学期の終業式を終え昼前に帰宅した時のこと。まだ寝てるかな、とソロっと玄関をあけると、母は起きてリビングにいた。
「おかえり、かい!」
声のトーンが高いので、二日酔いで機嫌が悪くないことだけはわかった。
「うん、ただいま」
「隣の部屋の箱開けてみて!」
頭にハテナを浮かべながら、リビングの隣の6畳の部屋へ行くと、1メートルちょっとのダンボールが包装紙に包まれて置いてあった。
見た瞬間、今日クリスマスだと言うこと、そういえば最近クラスの子がサンタに何を貰おうか、サンタなんかいるわけ無いじゃないか。
の論争が始まったりしていて、階はいると思うやろ?!
なんて聞かれても、実にどうでもよかった。
ただ、今目の前にあるのは大好きな唯一の母からの贈り物らしいことはすぐわかった。
包み紙一つ破ったりしたくなくて、階は大事に開ける。緑と赤のクリスマスカラーの包装紙の中に入っていたのは、赤いギターだった。
「あんた、この前うちの店主催のイベント来た時、バンドのギターの人目見開いてみてたやろ、
やってみたらどうかなと思ってさ」
そうだ。先月母に連れられて店の何周年だかのイベントに行った。
母はいろんな男の人にベタベタと愛想を振り撒きお酒を振る舞う、母の仕事をちゃんと見たのは初めてだが階からしたらとても不快だ。
帰りたいとも言えずつまんだ枝豆がとても美味しく、コーラを飲みながら一気に食べた。
眠くなり、母に伝えようとしたときいきなり聞こえてきたのが、バンドだった。
初めて聞く生のギター、ドラム、ベース。それらの音が重なってそこに歌をのせる。
重低音が響くように、心奪われていたのだった。




