近づく音
「何してんねん?!」
そう言いながら、今日は颯爽とロードバイクわ停め、ロープ状の鍵をかけだした。
な、、ここに来るつもりだろうか、、。
なんて思う暇もなくもう階の身体は私の隣にあった。もうお尻をつけて座っていた。
「ここ好きなん?」
階に聞かれて、返事に困ってしまった。
好き、と聞かれたら好きなの。と答えられない私がいたことに初めて気づいた。
秋音にとってここは、どうしても溜まってしまう膿んでくる膿みたいなものを、洗い流して欲しい。そんな、とても自分勝手な、好きと言うのも烏滸がましいくらいなのである。
返事に困っていると、それ以上は階は聞いてはこない。これはここ数週間のクラスでの彼の様子だが、上手くは言えないが人のテリトリーに入らないような、グループにはいるけど一匹狼な雰囲気さえ醸し出していた。
勝手に関西弁のメッシュがズカズカな印象を持ってしまっていたので、私にはこの間が心地よくありがたかった。
「あ、バイトどうだった?面接」
「受かったで、駅前のマック!夜で週4入ってるわ。俺ずっと働きたかってん」
「そうなの?欲しいものとかあるの?」
いかにも学生らしい質問をしてしまったことを後に後悔する。
「いや、俺さ今親戚んちおるねん。去年の秋から。
母親と二人でずっと住んでたんやけど、男とどっか行ってもうた。あんたの歌好きやから続けときーって言うてどっか行ったわ」
「ギターずっと担いでもうてさ、曲作ったり辞められへんねん、かっこ悪いやろ?」
かっこ悪くない、全然
そんなことない
そんな気の利いたうまい言葉すら言えず
首をブルンブルンと振るしかできない私が、心底嫌になった。




