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目覚めの合図

「明日、必ず学校へ」

暗闇に包まれた部屋で、中性的な声が響き渡った。

ハッと目が覚めた。カーテンの隙間からは明るい夏空が広がっているのが見えた。

「エリナー。遅刻するよー」

そう、下の階で呼ぶのは私の母だ。滅多に私を起こさないのに。

反射的にベッドの上にある時計を見ると八時だった。滅多に起こさない母が私を起こしたのはその理由だった。

「はぁい」と私は落ち着きを払って言った。

こんな時間だと絶対に間に合わない。だから仮病で休んじゃえばいい。

私はベッドから飛び起き、支度をして階段を下った。

「いってきます!」と食パンを片手に学校へ走った。

──走りながら食べる食パンはおいしくないな。

そう思いながら学校へ向かった。


「着いたぁ」

私はほっとしたが、片手にはまだ食パンがあった。

「やっべ」と小声で食べかけの食パンを見て言った。

すると、「エリナ! おはよー!」と馴染み深い声が後ろからした。

振り返ると友達──いや、親友の市本侑花(いちもとゆいか)いと降旗(ふるはた)たまきがいた。

「おはよー! ってか何で玄関前にいるの? もう学校始まってるけど」

今は八時半。学校は八時二十五分からなので、もう始まっている。

「それがさ、玄関が閉まってるんだよ」と侑花が言った。

「しかも他に誰も来ていないんだよ」とたまき。

教室を覗くと暗いままで人影もない。

「あれ? 誰か来てない?」

遠くからだから分からないが多分、本所花恵(ほんじょはなえ)好井萌衣(よしいめい)だろう。

予想は当たった。

「おはよう。あれ? 遅刻?」

二人は不思議そうに私たちを見た。

「私は夢で言われたから来た」

私は四人に夢の出来事を話した。

「私もおんなじ事があった」

「私も」

と全員言った。

もしかしたらこの五人はあの夢を見たからここにいるのかもしれない。

 すると、玄関のドアが開いた。

「あれって……」

私は思わず口をつぐんだ。

出てきたのは大嫌いな五十子(いそこ)先生だった。

「うわ、五十子じゃん」

先生は私たちを一人ずつ見て、「これからあるゲームをします。ルールは簡単。指示されたことをすること。もし、できなければ死にます。また、余計な事をすると誰か一人死にます」と不気味な笑みを浮かべながら言った。

「は……?」

「それでは、スタート!」

先生は私たろのことを無視してゲームを開始した。

「こっち行ってみよう」

私たちは中庭に行った。

中庭には花だんや何かのタンクがある。

すると、バコン! とタンクから大きな音がした。

タンクの方を見ると、頭がら血を流している人が寄りかかっていた。

「え!?」

私たちは顔を見合せた。

すると、再び大きな音がした。

また振り返ってみると五十子先生が血を流して死んでいた。

「五十子死んだよ。良かったー! これで解放されるー!」とのびーっと体を伸ばして侑花が言う。

良かったと思っていいのだろうか。

 私は侑花とたまきと一緒に「なんでも部」に入部した。

活動内容は工作や、学校をより良くする方法を考え、実行したり、ボランティアをしたり、色々だ──と先輩から聞いた。

だが、入部してからはずっと学校の施設の掃除をしているだけだった。

「いつ他の活動をするのかな」と三人で話している毎日。そにな毎日退屈だった。

先生に訊いても「先のことは知らない」と言うだけだった。

そんな先生を私と侑花とたまき(私たち)は嫌っていた。

「なんでも部じゃないじゃん。こんなの」

「それな。退部したいわ。こんな部活」

「だけど負けた気がしないかな?」

「確かに」

そんな会話が何日も続く。離退任式をわくわくしながら待っていたが、異動はしなかった。最後の希望であった二年の離退任式も終了した。もう引退を待つしかない。私たちはそう思って、毎日部活に来ていた。

『早くいなくなってほしい』

私たち三人は毎日、願っていた。

──それが、叶うなんて。

人の死を喜んでいいのか。

「ちょっと、離れよう」たまきが私を助けてくれた。

「あ、うん。そうだね」

私はチラっと先生を見て、その場を離れた。

 正面玄関辺りをうろうろとしていると急に侑花が、「体育館見に行っていい?」と言った。

私は体育館に目をやった。体育館からは嫌な空気か漂っている気がした。

体育館を覗くと余計な事だと敵側に思われてしまいそうだ。そして、誰かが死ぬ。

私は強く「やめたうがいい」と言った。

する遠くから「ぎゃああ!」叫び声が聞こえた

「外階段からだね」

私たちは外階段に向かった。

「あ……」

そこにいたのは、目を手で覆っている本所花恵だった。

「ど、どうしたの!?」

「ひっ……人が……沢山……」

ガタガタと震えた声で言う。だけど、そこには人なんていない。花恵一人だった。

「は、花恵ちゃん……。人なんていないよ」とたまきが目を丸くして顔に冷汗を滲ませて言った。

「え……。いや! いるの! ここに!」

彼女は指を差しなかな言った。

すると「ふふ」と不気味な笑い声が聞こえた。それに気付き、私たちは周りを見回した。

「この人──本所花恵にはある液体を飲ましたんです。幻覚の薬。その他に集合体恐怖症になる薬を」とどこからか分からないが夢に出てきた人の声がした。

「花思は何もしてない!」と萌衣が必死で抗議する。

「それはどうですかね」とその人? は言い、防犯カメラらしき映像が空中に現れた。

 弁当屋が来て、人数分の先当を玄関前に置いて去った。

木の弁当箱に入っているので、開けないと中身が分からない。

それに気付いた花恵は中身が気になり、開りてみた。

中は、スーパーマーケットに売っているようなごく普通の弁当だった。

「高いの期待してたのに」と呟き、「こんなもん、食えるかよ!」と大きな声で言い、人数分の弁当を踏み潰した。

「は、花恵……」

必死で抗議していた萌衣も、力が抜けて勢いがなかった。

(二人は信頼していたからな……)

「この弁当はあなたたちの弁当だったんです。それが、本所花恵のせいで無くなりました」

(やっぱり。私たちの弁当だったんだ)

「それじゃあ、昼食が無くなるってことですか⁉︎」

全員が目を丸くして言う。

「いいえ。ありますよ」と言ってその声は消えていった。

(一体、あの人は誰なんだろう)

そう私は思いながら空を見つめた。

マジで見ましたよ。怖かったです。

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