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五回目のリセット勇者、魔王を守って異世界カフェ無双  作者: のびろう。


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29/30

最終章 そして、美食は巡る

あの日、転生したジロウは思った。


(またか……また異世界か。けど今回は、俺が“選ぶ”番だ)


――そして今、彼は選んだ。


戦うでもなく、帰るでもなく。

「食べさせ、癒やし、愛される」道を。


 


カフェ《美食家の楽園エピキュリアン・ヘイヴン》は、今日も盛況だった。


カウンターにはいつもの顔ぶれ。

旅人に、騎士に、商人に、ちょっとした悪党に至るまで、彼の作る“心の一皿”を求めてやってくる。


 


「本日のおまかせは、森の恵みと魔王の火で仕上げたスモークプレート。香りに全振りだ」

「……料理で世界を救った男が、まさかこんなボケを……」

「ふふ、嫌いじゃないわ」


イヴァが微笑み、

リアナは「お待たせしましたっ!」と元気に盆を運び、

リディアは黙って皿のバランスを修正しながらニッコリしている。


 


そして今日は、“あの人物”もやって来ていた。


「……ジロウさん。あなたに救われたから、今度は私が“誰か”の力になりたい」


そう言ったのは、ノエルだった。


彼女は今日、“料理を学ぶため”にカフェの研修に来ていたのだ。


「……天使かと思った」

「ジロウ、目がトロけてるよ」

「惚れたか?」

「元から全員に惚れてるだろ、この人」


そんな掛け合いも、もう日常の一部だ。



ラストスペシャリテ


その日、ジロウはとっておきの一皿を作った。


素材は、冒険の道中で手に入れた宝石のような果実と、魔核の安定化に使った神花の蜜。

器にはノエルが用意した星型のクリスタル皿。


 


「“未来”って名前のデザートだ」

「甘さは?」

「……可能性の味、かな」


笑いが起きて、誰もがその味に目を細めた。


「……これからも、この場所は続いていくんだな」

「そうだな。誰かが来る限り、ずっと」


ジロウは空を見上げた。


 


(転生も、戦いも、別れも――全部、ここに辿り着くための“レシピ”だったんだな)



エンディングシーン


夜。カフェの裏庭。

ジロウはひとり、焚き火を眺めながら温かいコーヒーを飲んでいた。


と、そっと毛布が肩に掛けられる。


「……風邪をひくわよ、ジロウ」


イヴァの声だった。


 


続いて、リアナが熱々のココアを、

リディアが手編みのマフラーを、

ノエルが柔らかい灯のついたランタンを差し出す。


「……おいおい、俺がいちばん幸せってことか?」


「うん!」

「そうね」

「異論なし」

「料理人、侮れないわ」


そして夜空に、三日月が輝いた。



【完】


『異世界五度目のスローライフ 〜美食家の楽園は今日も満席〜』

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