第二十三章 呪核暴走、そして最後の試練
「ジロウさん、来てください! 魔核の波動が……!」
リアナの叫びに、ジロウは厨房を飛び出した。
遺跡の天井が、震えるような轟音とともに光を放ち始めていた。
ノエルの顔が強張る。
「……来たわ。“呪核”が解放されかけている。誰かが、世界を歪めようとしているのよ」
「ノエル、場所はどこだ」
ジロウの声は静かだった。
「西の空中遺跡、“無垢なる竈”よ。あそこに魔核の封印がある」
「わかった。準備するぞ。……全力でな」
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遠征開始:空中遺跡へ
“移動厨房ワゴン”を空輸モードに変形させ、ジロウたちは空中遺跡へと向かう。
途中、カズマ(風間和馬)と合流し、後方支援にまわることに。
「この空の上で、食材が暴れるとはな……」
「ジロウ、空で料理する覚悟はあるか?」
「バカ言うな、空でも地でも、飯は出す」
空中遺跡《無垢なる竈》に到着した彼らを迎えたのは、ねじ曲がった“魔法陣”と、仮面の男――“アルド・ファルシス”。
「ふふ……見事に来たな、料理人の転生者よ」
仮面の下からのぞく目は、どこか“同じ世界”を見てきた者のようだった。
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呪核・暴走と決戦の始まり
「私もまた、召喚された身。だが私は選ばなかった。“与えられる世界”に従う道を」
「世界は料理できるだと? ふざけるな。俺は、食材のままで終わるのはゴメンなんだよ!」
アルドが魔核の中心部に魔力を注ぐ。
世界が軋む音――空が黒く染まり始めた。
「来るぞ、リディア、リアナ、イヴァ、ノエル!」
ジロウは調理台を展開し、包丁を握った。
「全属性展開、味覚リンク、心意統合――!」
「《極奥義・完全調理陣“グランド・スペシャリテ”》!!」
光の魔法陣が空間全体に広がる。
肉体も精神も、すべてを料理に変換する異世界調理の極致。
「ジロウ、私も行くぞ!」
イヴァが火炎魔法を炉心に注ぎ、
「任せて! 今回は焦がさないからねっ!」とリアナが素材を供給、
「味の制御は私が」とリディアが香気魔術を合わせる。
「……さすが、私が信じた人ね」
ノエルは微笑む。
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勝利と再封印、そして…
激しい光のぶつかり合いの末、ジロウの調理が完成する。
全世界に優しく響く香り――
その香りが、魔核の“暴走”を穏やかに包み込み、異常な魔力の流れを静かに“味”へと変換していく。
「……うまそうだな……」
仮面が地面に落ち、アルドが呟く。
「俺は……敗けたのか、料理に……」
「それが一番贅沢な敗北ってやつだ。味わっていけ」
ジロウが皿を差し出した。
アルドは涙を流しながら食べ、倒れるように眠った。
魔核は静かに沈黙し、《グランド・スペシャリテ》の余熱だけが空に残った。




