第二十章 対決!転生者の記憶と誓い
「本気でやれよ、先輩。あんた、いつも“手加減”してたからさ」
風間和馬――いや、“リザレクター”と名乗る彼が、漆黒の魔剣を抜いた。
その刃は、空気すらも震わせる魔力の塊だった。
「手加減じゃないさ。……俺は、いつも“選んで”戦ってきた」
ジロウは静かに包丁を取り出す。
その柄には、過去五回の転生で得たスキルと記憶が刻まれていた。
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空間が歪む、転生者同士の衝突
第一撃は風のように鋭く、雷のように速く――
「《終の斬閃・ゼロ》ッ!」
放たれた漆黒の斬撃が地を抉る。だが、それを寸前で避けたジロウは、一閃。
「《絶対火加減・三段調理》!」
炎と風を同時に用いた特殊な熱調理魔法が、敵の動きを封じる。
魔法でも武器でもない“料理人の業”が、戦場で火を吹いた。
「ふざけんなよ……! 料理で人を止められると思ってんのか!」
「止まるよ。美味いもん食ったら、誰だって少しは冷静になる」
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会話と交錯する記憶
激しい攻防の合間に、和馬の目が揺らぐ。
「……先輩。俺、覚えてるんだよ。第四の世界で、一緒に魔王城に乗り込んだ日……」
「お前は言ったよな。“次の転生があったら、もっと普通の飯が食いたい”って」
「そう……それが叶ったら、もう誰とも戦わなくていい、って……!」
ジロウは包丁を構えながら、ゆっくりと首を横に振る。
「お前が戦い続けたのは、俺のせいかもしれない。でもな、俺はもう決めた」
「“誰かの正義のためじゃなく、俺自身が笑える人生”を作るってな」
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終焉と選択
「じゃあ、試してみろよ!」
和馬が最後の魔力を振り絞る。
「《転生断裂・イミュレーション》!」
世界の法則を逆行させる究極の魔法――その発動寸前。
ジロウは両手に力を込めた。
「《超絶調理奥義・時超火入れ》!」
全五属性を用いた究極の加熱制御――その火は、魔力すらも焼き尽くす。
両者の技が交差したその瞬間――
爆光の中から、ジロウの声が届く。
「……お前が、俺の料理で変われるって信じてたんだよ」
爆発が収まり、そこに立っていたのは――
気を失い、穏やかな表情で眠る和馬だった。
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そして…
「回収した“魔核”は無事、王都へ返還されました」
王宮からの使者が報告する。
「……けど、転生者がまだ他にもいる可能性があるってことですよね?」
リディアの問いに、ジロウは静かに頷いた。
「次は、“最初の転生者”を探すことになるかもな」
空を見上げるジロウの目には、微かな決意の光が宿っていた。




