第十八章 晩餐会開幕! 伝説のスイーツと、王都を揺るがす陰謀
王宮の夜。
貴族たちの笑顔と香しい料理が、金と紅のドレスに彩られてきらめいていた。
「うわああ……すごい人……貴族の人って、みんなキラキラしてる……!」
リアナが目を丸くして、宝石のような会場を見回す。
「……けど、空気の奥にあるこの緊張感。貴族社会ってやっぱり疲れそうですね」
リディアが冷静に周囲を警戒しつつジロウに耳打ちした。
「ふっ……俺はいつでも厨房が落ち着くけどな」
ジロウは白衣の袖をまくり、調理場へと歩き出した。
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ジロウのスペシャリテ、完成!
厨房では、王女たちと考案した特別スイーツ《王冠の三姉妹タルト》が仕上げ段階に入っていた。
•外周は、金粉で彩られたアーモンドクラスト。
•中央には、第一王女の気品を象徴する紅茶クリーム。
•左右には、ミレーヌを模したラズベリー、クロエを象徴するミントチョコ。
「盛り付けは……よし、花びらを王家の紋章の形に並べる」
「セシリア様からのメッセージカードも添えました」
リディアが完璧な筆跡で封筒を用意する。
「リアナ、最後のデコレーション頼む」
「はいっ、食用金箔、ぱらぱら~~って!」
出来上がった逸品はまさに芸術。
香り、色彩、温かさ――すべてが調和した“王家の誇り”そのものだった。
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スイーツ・ショーダウン!
一方、フローラ・マルグリット嬢も負けていなかった。
彼女が披露したのは、氷細工と魔導糖衣を駆使した《雪の聖母》。
「見なさい! 融けかけの口溶け、冷たさの中の優しさ! 私の愛が詰まっているのよ!」
「見た目は派手、味は繊細……これはこれで、さすがだな」
会場がどよめくなか、いよいよ王家のスイーツが登場。
セシリア、ミレーヌ、クロエが自ら紹介し、ジロウの名が読み上げられた。
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拍手の中に、違和感
「……うまっ。なにこれ……口の中で物語ができてる……」
「三姉妹のイメージって……確かに、食べてるだけで伝わってくる……!」
貴族たちは感嘆し、王女たちの表情も晴れやかだった。
だが――その影で、場の片隅にいた一人の貴族風の男が、目を細める。
「まさか、“魔核の封印”を解いた男がこんなところにいるとはな」
仮面を被った彼は、静かにワインを口に含みながら呟いた。
「次は――もっと直接的に潰してやるとしよう」
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晩餐の後、王女の告白
「ジロウ様、今日は本当にありがとうございました」
セシリアが、照れくさそうに微笑む。
「……私、あなたと出会えて、初めて“自分の味”を知った気がします」
ミレーヌの声はわずかに震えていた。
「貴族としてじゃなく、ひとりの人間として……また、あなたと厨房に立ちたい」
クロエの目が、じっとジロウを見つめていた。
「……まったく、罪なスイーツ作っちまったな」
ジロウがぼそりと呟くと、三姉妹は同時に笑い出す。




