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五回目のリセット勇者、魔王を守って異世界カフェ無双  作者: のびろう。


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20/30

番外編:絶品温泉卵と、消えた食材事件!

「着いたぁぁぁぁぁぁ!」


 リアナが荷物ごとダイブするように温泉宿の玄関へ駆け込んだ。


「飛び込み禁止です」

 リディアが涼しい顔で看板を指差す。


「ふふ。旅にはしゃぐのも、また良いものだな」

 イヴァはすでに湯浴み着で準備万端。


「……もう完全に馴染んでるな、お前」


 ジロウは汗を拭いながら、彼女たちの様子に目を細めた。



湯けむりの休息


 町は山と湖に囲まれた小さな温泉郷。

 「幻卵まぼろしたまご」と呼ばれる絶品の地鶏卵と、湖のミネラル豊富な温泉で知られる。


 ジロウたちは、地元の老舗旅館《雲見亭》に宿泊。


 


「よく眠れそうだ……」

 湯上がりで頬を染めるリアナ。


「明日は市場で珍しい発酵調味料を買い込みます」

 リディアの目はすでに買い出しモード。


「……さ、さっきジロウが見てた“混浴時間表”、あれって……」

 イヴァの声が妙にトーン低め。


 


「やめてください。スローライフが修羅場ライフになります」

 リディアが即座にツッコミを入れる。



翌朝・市場で事件発生!


「えぇぇぇ!? 食材が……!? ぜ、全部消えてる!?」


 市場のあちこちで、冷蔵壺や保存魔法をかけた倉庫が“空”になっていた。


「これは……“何かに運ばれてる”痕跡ですね」

 リディアが足跡と温度変化を見て分析。


「何者かが、幻卵だけでなく高級肉、魚、野菜を……」

 イヴァも眉をひそめた。


「……ってことは、この街の料理店、全滅じゃねぇか」

 ジロウが苦笑した。


 


「これじゃあ……幻の“幻卵温泉卵”が作れない……」

 リアナがぐすんと鼻をすすった瞬間、ジロウの目に“炎”が灯る。


「……仕方ねぇ、やるか。食材を取り返すぞ。犯人の胃袋からでもな」



調査開始!


 聞き込み、痕跡追跡、温泉宿の地下通路を発見し――


「……こ、これは……!」


 たどり着いたのは、温泉の配管を利用した“野生モンスターの巣”。


 中には――


「ハピたま族……!?」


 見た目は丸くて白い温泉卵そっくりの小動物。

 火山地帯に棲み、人の料理に異常な執着を見せる幻獣。


「……うまそうじゃなくて、かわいいな……」


 だが――その中心に、巨大な“親ハピたま”が鎮座。


「むむっ! あなたたち、うちの子たちのごはんを盗みにきたのね!」

 なぜか言葉が通じた。しかも女子っぽい。


 


 親ハピたまの怒りが爆発し、ミニマグマを吐く!


 ジロウはその瞬間、叫んだ。


「――《グルメスキル:火水調合・極》!!」


 ミニマグマと温泉水を瞬時に融合させ、蒸気圧を利用して


 **“超濃厚・瞬間蒸し温泉卵”**を完成!


 


 漂う香りに、ハピたまたちは一斉によだれ。


 親ハピたまもとろけた目でスプーンを手に取る。


「……これ、すごい……はわわ……とろ……とろ……」


 その場で全員癒され、事件は解決!



湯上がり、夜の混浴露天にて


「ふぅ……やっぱ、温泉はこうでなくちゃな」


 星空の下、ジロウは露天風呂に身を沈め、肩の力を抜いた。湯けむりと静けさに包まれたその時――


「失礼しまーす♪」


 リアナが、湯上がりタオル一枚の姿でひょっこりと現れた。


「え、ちょ、お前、ここ混浴って……」


「えへへ、だってジロウさん、いつも早起きして、みんなの分の朝食仕込んでくれるじゃないですか。たまには“サービス”です♪」


「……あのな」


 タオルがふわっとめくれかける。

 ジロウが思わず視線を逸らすと、背後から冷静な声が。


「――油断してますね」


 続いて入ってきたのは、リディア。

 シンプルながら身体のラインが浮かび上がる湯浴み着。


「何事も、均等に配慮を」


 そう言いながら、何気なく隣に座る。

 だが、頬はほんのりと赤い。


「いや……えーと、俺、なんか、試されてる?」


 


 そこへ――


「はぁ……混浴、混浴って……意味は理解していたのだけれど……」


 イヴァが顔を真っ赤にしてタオルをぎゅっと握りしめながら入ってくる。


「だ、大丈夫だ。タオルがあれば……あの、タオルが……っ」


 滑った。


 ジロウは本能で受け止めた。


「おっと!」


 腕の中にすっぽりと収まるイヴァ。


 ……柔らかい。ぬくもり。湯けむり。


 


「きゃ――あ、ああああっ!? 今のは事故です! 事故ですから!!」


 湯けむりの向こうで、リアナとリディアが口を抑えて笑っていた。



就寝前・縁側にて


「……ジロウさん、今日の温泉卵、すっごく美味しかったです」

 リアナが浴衣姿で寄りかかる。


「あなたといると、私、少しずつ……“普通の女の子”になれている気がします」

 リディアは少しだけ表情を崩して呟く。


「私は……ただ、もう誰かを傷つけずに、笑って過ごしたいだけです。あなたの隣で」

 イヴァの声は、虫の音にかき消されそうなほど小さく、でも真剣だった。


 


 ジロウは湯飲みを静かに置き、笑った。


「明日からも、うちの店で――普通に飯作って、普通に働こうぜ」


「「「……はいっ」」」


 


 虫の声、夜風、温泉の香り――

 かけがえのない一日の終わりが、そっと閉じられた。



帰り道


「……温泉卵ひとつで平和になる世界、悪くないな」

 ジロウが笑う。


「ジロウ、またひとつ新たな“伝説の温泉卵”を生み出しましたね」

 リディアが記録に追われている。


「……今度、うちの店でも出しませんか?」

 イヴァがそっと袖を引く。


「よし、名前は――“幻卵温泉卵・ハピたま仕立て”でどうだ?」


「かわいい!」

「売れる!」

「……味も、悪くなかった」

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