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(^ω^)【ようです】のようです

( ^ω^)メニューの少ない定食屋のようです。

作者: 日曜日夕

 ( ’A`)「昼休みだァァァッ!!飯食いに行くぞォォッ!」



( ・∀・)「なぁ、今日はいつもと違う店に行ってみようぜ」



 (’A` )「それもいいな。いつも同じ店だと飽きるしな」



( ・∀・)「お、丁度いい所に定食屋が。こことかどう?」



【食事処『定食』】



 ( ’A`)「トートロジーを感じさせる名前だ」



( ・∀・)「あ、でもGoogleマップに載ってない。営業してないのかな?」



 ( ’A`)「暖簾が出てるから営業中だろ。まぁ、そういう店に挑戦するのもいいじゃん。入ってみようぜ」



( ・∀・)「うん。なに食べよっかなぁ……」



 カラーンカラーン



(^ω^ )「へいらっしゃい!何名様で!?」



 ( ’A`)「あ、2人です」



(^ω^ )「あいよ。カウンターの奥に詰めて座ってくださいね」



 ( ’A`)「はい」



(^ω^ )「はい、おしぼりね」



(^ω^ )「後ろの壁にハンガーあるんで、スーツは掛けて貰っていいですよ」



( ・∀・)「あ、ありがとうございます」



 ( ’A`)「定食屋でカウンターだけって、珍しいスね」



(^ω^ )「あぁ。元々は居酒屋なんだけどね。常連さんに言われて、昼も開けるようになったんだよ」



( ・∀・)「あ~、最近はそういうランチ営業の飲み屋さんも多いですよね」



 ( ’A`)「ランチ結構安いから助かるよな」



 ( ’A`)「っと、あの。すみません、メニューってあります?」



(^ω^ )「メニュー?」



(^ω^ )「あ、ごめんなさい。お二人は初めてか」



 ( ’A`)「?」



(^ω^ )「この店メニューないの。ウチはA定食一筋でやらせて貰ってんだ」



 (;’A`)「A定食のみッ!?」



(;・∀・)「B定食がないのにAッ?」



(^ω^ )「ほら、元々居酒屋だから。申し訳ないけど昼用にわざわざメニュー作る余裕もなかなか無くてね……それでも良いかい?」



(^ω^ )「ちなみに税込みで1000円ね」



( ・∀・)「1000円スか」



(^ω^ )「ごめんね、ほら最近はもう食材も高くなっちゃって」



 ( ’A`)「いやいや、この辺りだとチェーン店でもランチ1000円くらいしますから」



( ・∀・)「野菜とか、ホント高くなりましたよね~」



( ^ω^)「ホント、参っちゃうよ。じゃ、A定食2つ。ちょっと時間頂きますね~」



 ( ’A`)「はーい。お願いしまーす」



( ・∀・)「……」



( ・∀・)「いやぁ、メニューがないラーメン屋は知ってるけど、定食屋にもあるもんなんだなぁ」



 (’A` )「大将も結構こだわり強そうだったしな。まぁでも、考えれば定食メニュー一つだけでも、それが美味しけりゃ客は来るもんな」



 (’A` )「客としてはメニューを考える面倒臭さもないし、店も廃棄ロス減らせるし……結構アリなんじゃないか?」



( ・∀・)「たしかに……あ、でも今日が何定食なのか聞くの忘れちゃったな」



 (’A` )「ここまで来たら逆に何が出てくるかは聞かず、楽しみにしようぜ」



( ・∀・)「それもいいな」



( ・∀・)「っと、そう言えばお冷がないな」



 ( ’A`)「ホントだ。すみませーん、大将ー!」



(^ω^ )「はいよ。どうしやした?」



 ( ’A`)「すみません、お冷を頂けますか?」



(^ω^;)「お冷……あー!すいやせん!」



(^ω^ )「うち、ドリンクバーなんです!開店直後だからカバー被せたままでした!すぐ外します!」



 (;’A`)「ドリンクバーなの!?」



(^ω^ )「はい。あの、夜営業でね、レモンサワー作ってくれ、コーラサワー作ってくれって色々言われてねぇ、で、人によっちゃ薄め濃いめの好みがあるじゃない?もう面倒臭くなっちゃってね」



( ・∀・)「あー、飲み放題のお店とかでありますね、そういうの」



(^ω^ )「お水とかお茶も後ろのドリンクバーにあるから、そこからお願いしやす」



 (;’A`)「後ろにあったんだ。すみません気づきませんでした」



(^ω^ )「いえいえ、あ、お冷とかお茶以外のジュースも飲んでいいですよ」



 ( ’A`)「え、マジすか?ありがとうございます!」



(^ω^ )「まぁ、お客さんにお手間取らせてるからね」



( ^ω^)「それじゃ。料理作ってますんで、また何かあれば呼んで下さい」



( ・∀・)「はーい……」



 (’A` )「……」



( ・∀・)「めっちゃお得だな、この店!」



 (’A` )「太っ腹だよな。まぁ、ドリンクバー料金含めての1000円なんだろうけど」



( ・∀・)「ちょ、それ言うとお得感薄れるから止めろよ!」



 (’A` )「ははは、それでもランチの定食としちゃ飛び抜けて高いワケじゃないし、お得だと思うぜ」



 (’A` )「じゃ、俺注いでくるわ。何がいい?多分、コーラはあるぜ」



( ・∀・)「……熱いお茶かな」



( ・∀・)「正直、この年齢(トシ)になると、ドリンクバーにそこまでありがたみ無くなるよな」



 (’A` )「まあな。結局、お茶とかお水でいいんだよな」



( ・∀・)「定食にコーラは合わないしな」



 ( ’A`)「そりゃそうだ。じゃ、ちょっと待っててな」



( ・∀・)「うーい」



( ・∀・)「……」



( ・∀・)「お、この定食屋『深夜食堂』置いてある。飯が来るまでの時間で、一話一話の長さが丁度いいんだよなぁ」



 (’A`;)「お、おい!やべぇぞこの店!」



( ・∀・)「え?なに、いきなりどうした?」



 (’A`;)「この店のドリンクバー……ソフローズンがある!」



(;・∀・)「は……マジで!?オレンジとメロンッ!?」



 (’A`;)「オレンジとメロンッ!!」



(;・∀・)「カラオケじゃん!!」



 (’A`;)「しかもソフトクリームサーバーもあるッ!!」



(;・∀・)「食べ放題の焼肉屋じゃん!!」



(;・∀・)「すげぇッ!」



(^ω^;)「あの……どうなされました?」



 (;’A`)「あ、いや。すみません。ちょっとソフローズンとソフトクリームがあるのが予想外過ぎて」



(^ω^ )「そんなに珍しいですか?」



(;・∀・)「こういう店に置いてあるのは見たことないです」



(^ω^ )「まぁ大人はあんまり食べないけどね、お子さんが喜ぶのよ」



 (;’A`)「大将、サービス精神旺盛ですね」



(^ω^ )「あんまりそうは思わないけど、ありがとうね」



(^ω^ )「あ、そうだ。ちょっとメインに時間がかかるから、先にご飯とお味噌汁だけ置かせてね」



( ・∀・)「あ、はーい」



(^ω^ )「で、ちょっと待ってね……」



(^ω^ )「……よいしょ、はい。これふりかけね」



 (;’A`)「……え?マジで?」



(;・∀・)「う、うそだ……」



 ( ’A`)「のりたま!鮭フレーク!ごましお!ちりめん山椒!味道楽!」



( ・∀・)「海苔わさび!ゆかり!梅しそ!おかかにたらこ!」



 ( ’A`)「ごはんですよッッッッ!!!!」(・∀・ )



 (;’A`)「なんてことだ……ッ!"全部"揃ってやがる!」



 (;’A`)「おかずがなくともご飯が進む、最強のお供(ふりかけ)たち!」



(;・∀・)「こ、こんなの食べずにはいられない!"米"!!」



(;・∀・)「お茶碗一杯では足りないッ!圧倒的にッ!!」



(^ω^ )「あ、心配しないでいいよ。ご飯と味噌汁、おかわり自由だから」



 (;’A`)「神様ッ!?」



(^ω^ )「違うよ?」



(;・∀・)「いや、こんなに沢山のふりかけ、いいんですか!?」



(^ω^ )「いいよいいよ。俺が普段遣いしてるヤツだし」



 (’A` )「すげぇなこれはお得だ」



( ・∀・)「うん。俺なんて『ごはんですよをかけた白米』をおかずに、白米食べられるもん」



 (’A` )「糖尿病気をつけろよ」



(^ω^ )「あ、そうだ。ウチ、小鉢とかは用意してないんだけど……」



( ・∀・)「え?ぜーんぜんいいですよ!ごはんですよがもう小鉢みたいなもんだし!」



 (’A`;)「ごはんですよ好きすぎだろ……」



(^ω^ )「代わりにサラダバーあるから」



 (;’A`)「代わりにサラダバーあるからッ!?」



(;・∀・)「もうバイキングじゃねぇか!!」



(^ω^ )「いやぁ、そんな大層なモンじゃないよ。ほら、小鉢料理って好き嫌いによって満足度に差が出ちゃうじゃない?」



( ・∀・)「あ、それは分かります。僕、小鉢が切り干し大根だとちょいテンション上がりますもん」



 ( ’A`)「たしかに。俺は漬物あんま好きじゃないから結構残しちゃうかも」



(^ω^ )「でしょ?まぁ、だから漬物とか、おばんざい、好きなのを食べてもらえるようにね。店の奥にサラダバーを作ったのよ。もちろん、おかわりしてもいいよ」



 (;’A`)「え?本当にいいんですか?」



(^ω^ )「いいよいいよ……ここだけの話、業務用だから」



( ・∀・)「ははは!大将、暴露しすぎですよぉ!」



 ( ’A`)「まぁ、でも最近は業務用でも美味しいですからね」



(^ω^ )「そうなのよ。俺が作るより美味しいんだもん……これ企業秘密ね」



(^ω^ )「じゃ、あともう少しで料理できるから」



( ・∀・)「はーい」



 ( ’A`)「……」



 ( ’A`)「すげぇな、この店。サービス精神の塊じゃん」



( ・∀・)「サラダバーはまだ見てないけど……あの話しぶりだと漬物とか煮物とか5、6種類くらいあるんじゃない?」



 ( ’A`)「サラダバーっていうか、おばんざいバーだな」



(・∀・ )「じゃ、ちょっと先に俺取ってきていい?」



 ( ’A`)「お、いいぞ。ちょっと漫画読んでるわ」



(・∀・ )「うーい」



 ( ’A`)「……」



 ( ’A`)「あ『ジョジョ』ある。8部まだ読んでないんだよなぁ」



(・∀・;)「おいおいおいおいッ!!」



 (;’A`)「!?」



(・∀・;)「おいおいおいおいやべーって!やべーって!!」



 (;’A`)「どうした、どうした!?」



(・∀・;)「ちゃんとサラダバー!」



 (;’A`)「ちゃんとサラダバーって何ッ!?」



(・∀・;)「トマト、コーン、オニオンスライス、ブロッコリー、オクラ!レタスサラダにポテトサラダ!」



(・∀・;)「マカロニ、わかめ、ごぼうサラダ、キャロットラペ、スパサラダ!」



 (;’A`)「ちゃんとサラダバーじゃねぇか!!」



(・∀・;)「ビーツとキャベツのコールスローもあった!!」



 (;’A`)「成城石井でしか見ねぇよそんなもん!!」



(・∀・;)「おばんざいバーとかじゃなく、ちゃんとサラダバーだった!」



 (;’A`)「つーか、小鉢料理は何があったんだよ。俺はそんな野菜食わないから、今の聞いてもそこまでワクワクしなかったぞ」



(・∀・;)「分かった。いいか、よく聞け?」



(・∀・;)「切り干し大根、青菜のお浸し、かぼちゃの煮物、ひじき煮、きんぴらごぼう、白和え、うの花、豆煮……」



 ( ’A`)「はいはい。定番だな。個人的に、今の季節かぼちゃが嬉しいな」



(・∀・;)「なます、ナムル、キムチ、梅干し、ぬか漬、浅漬、柴漬、つぼ漬……」



 ( ’A`)「漬物系か、まぁ俺は食べないけど……ていうか数多くない?」



(・∀・;)「レンコンと蒟蒻の甘辛煮、ナスの揚げ浸し、里芋の煮っころがし、高野豆腐、たけのこのうま煮、筑前煮……」



 (;’A`)「いや筑前煮はもうメインじゃない!?」



(・∀・;)「スクランブルエッグ……」



 (;’A`)「スクランブルエッグッ!?」



(・∀・;)「ソーセージ、出汁巻き、鯖の塩焼き、春巻、ナゲット、鶏唐揚げ、焼売、ベーコン、ハンバーグ、エビチリ、麻婆豆腐……」



 (;’A`)「ビジホのバイキングじゃねぇか!!」



 (;’A`)「しかも結構いいビジホの奴!!」



 (;’A`)「おい!目を覚ませ!そんなサラダバーあるわけねぇだろ!」



(・∀・;)「え?あ、そうかな……?」



 (;’A`)「そうだよ!だって、途中からもうサラダじゃないもん!」



 (;’A`)「ちょっと待ってろ、俺が確かめてくる!」



(;・∀・)「あ、うん……頼む」



( ・∀・)「……」



( ・∀・)「おっと『ゆゆ式』置いてあるじゃん。理解(わか)ってるな大将」



 (’A`;)「いやいやいやないないないッ!!」



(;・∀・)「やっぱり夢じゃなかった!!」



 (’A`;)「こぼれイクラがあったッ!!」



(;・∀・)「イクラこぼれてたのッ!?」



 (’A`;)「刺身もあったぞ!サーモン、マグロ、ホタテ、イカ!」



(;・∀・)「北海道のバイキングじゃん!!」



(^ω^;)「ちょちょっと。さっきから騒がしいけど、どうかした?」



 (;’A`)「あ、いや。すみません……サラダバーにまさか刺身があるとは思わなくて」



(^ω^ )「あー、刺身ね。びっくりした?」



(;・∀・)「えぇ、業務用の出来合いだと仰っていたので……」



(^ω^ )「常連の中に漁師の池ちゃんってのが居てね。よく釣った魚を持ってきてくれんのよ」



 (;’A`)「え?でもイクラとかありましたよ?」



(^ω^ )「あぁ、この前ね。北の方に行ってきたんだって」



(^ω^ )「もうすぐカニも茹で上がるよ」



( ・∀・)「池ちゃん、なにかしらの一線を越えてません?」



(^ω^ )「さぁ?『日本の漁港で水揚げすりゃ国産だぁガハハ』って言ってたけど」



 ( ’A`)「これは越えてますね」



(^ω^ )「?まぁ国産だから安心して。この後お客さんがたくさん来ると無くなっちゃうから、早めに食べた方がいいよ」



( ・∀・)「……どう思う?」



 ( ’A`)「この店は特別なルートから格安で食材を仕入れているだけだ」



 ( ’A`)「つまり、なんの問題もない!」



( ・∀・)「たしかに!」



( ・∀・)「つーわけで、俺もう一回行ってくるわ」



 ( ’A`)「おう!」



 ( ’A`)「……」



 ( ’A`)「『こち亀』でも読むか……」



(・∀・;)「おいここワッフル焼けるぞッ!!」



 (;’A`)「お前ェなんで今まで気づかなかったんだよ!!」



(・∀・;)「バイキングってそういうモンだろうが!!」



(^ω^ )「はいはい、おまたせしましたぁ~」



(^ω^ )「ゴメンね。お腹減ってイライラしてた?」



 (;’A`)「あ、いや。全然そうじゃなくて。すんません騒いじゃって」



(;・∀・)「サラダバーから放たれる衝撃がすごくて」



(^ω^;)「別に、バイキングによくあるラインナップでしょ?」



 (;’A`)「バイキングによくあるラインナップが定食屋にあるのがおかしいんですよ」



(;・∀・)「あんなに沢山用意して大変じゃないんですか?」



(^ω^ )「いやいや、メインはA定食だけだから。サラダバーは開店前に用意しとけばいいんだし」



 ( ’A`)「はぁ……そういうモンですかねぇ」



( ・∀・)「それより大将。A定食は何なんですか?」



(^ω^ )「あぁ、そうだそうだ」



(^ω^ )「はい、醤油ラーメン一丁ッッッ!!」



 (;’A`)「醤油ラーメン一丁ッッッッッッ!!??」



(^ω^ )「ウチはラーメン定食一筋でやらせて貰ってるんでねッ!!」



(;・∀・)「一筋と言うには寄り道が多すぎんだよッ!!」

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