ハッスル爺
誰もが平和を願う。
しかし、真の平和はいつまでもやっては来ない。
二十一世紀が始まった今でも、世界は安寧を迎えていない。
この腐った世の中で、孤軍奮闘する者がいた。
彼は正義の使者、その名は、
「ハッスル爺見参!そこな童どもよ。外に行ったら体を動かさんか!外で携帯ゲームで遊ぶんじゃない」
「うるさい変態ジジイ!黙ってろ。俺たちがどう遊ぼうと関係ないだろ」
「なぬ?!反抗的な態度。もしやこれは・・・ハッスルスコープ!!」
ハッスル爺は、老眼鏡をかけた。
ハッスル爺は、老眼鏡をかけると、字が良く読めるようになるのだ。
「私は判断した。貴様、反抗期だな。覚悟しろ」
ハッスル爺は、蟷螂拳の構えをとり、子供を威嚇する。
「もう、うっとおしいな。しょうがないから遊んでやるよ」
子供の一人が立ち上がり、斜に構える。
無駄の無い構え、この子供は一体?
勝負は一合、一瞬で決まるはずであった。
しかし、ハッスル爺は敵わぬとみて、今度は蛇拳の構えをとる。
その変則的な動きに子供は驚き、手を出せないでいた。
「どうじゃ、伊達に年をとってはおらんぞ。さあ、かかって来い!」
「どうやら僕も本気を出さないといけないみたいだね」
子供が服を脱ぐと、そこには隆々とした筋肉があった。
「フンッ」
華麗にポージングする子供。
「よっちゃん。キレてる。めちゃめちゃキレてるよ」
よっちゃんと呼ばれた子供は、不敵に笑う。
「この筋肉に勝てるかい?ハッスル爺」
「そんな見かけ倒し、この私が恐れるとでも?」
「そうかい、本当に見かけ倒しかどうか、試してみるがいい!!」
常人には見えないすさまじいやり取りの後、二人は背を向け合い、固まった。
「なかなかやるな、童」
「貴様もな、変態ジジイ」
どさりと崩れるハッスル爺。
「フンッ」
流麗にポージングするよっちゃん。
「よっちゃん。キレまくってるよ!!」
ああ、正義はいずこに・・・
「ハッスル爺、ハッスル爺・・・」
「あ、あなたは?」
ハッスル爺の目の前には、きれいな女神がいた。
「ハッスル爺、あなたが力尽きるにはまだ早すぎます。さあ、お立ちなさい。あなたはあなたの地平線を目指して!」
「あなたは私の生き別れた妻!」
グサッ。
女神は、手にしていた金の斧で、ハッスル爺の頭をかち割った。
私が落としたのは、その斧ではありません。
もっと普通の斧です。
「何をボケているのです。さっさと生き返って、戦いなさい」
「ですが、このままではあの童にも勝てません。何かパワーアップを!」
「パワーアップ?」
「そうです。女神さまの乳をもめば、私はさらにパワーアップ・・・」
グサッ。
女神は、手にしていた銀の斧で、ハッスル爺の頭をかち割った。
私が落としたのは、その斧でもありません。
もっと普通の斧です。
「くだらないことばかり言ってると、アビスに落としますよ」
「はーい」
「さっさと行く!」
「はい!」
女神は手にしていた斧をきらめかせると、ハッスル爺は一目散に駆けだした。
その斧です。
私が落としたのは!
「では正解者には、御褒美を」
わーい。
グサッ。
女神は私の頭をかち割った。
「あまりくだらないことばかりやってると、頭かち割りますよ」
にこやかに微笑む女神さま。
あの、私、もうかち割られてますけど・・・
ハッスル爺が目覚めると、もう夕方であった。
あたりに人気など無い。
「あの童はいずこに?もういないのか?仕方がない、勝負はお預けか」
ハッスル爺は頭にささっていた金銀の斧を抜くと、夕日に向かって駆けて行った。
両手に斧を持ちかけ去る様を見て、道行く人は皆道を譲った。
捕まるのは時間の問題だろう。
戦え!ハッスル爺。
負けるな!ハッスル爺。
磯巻 宗春先生
会話のやりとりは面白かったです! ただ、少々展開が急激すぎるのと、女神様登場がちょっと無理矢理だったかも、です。
最後はハッスル爺が普通に童をぶっ飛ばしてもよかったかなぁ。
すいません、ハッピーエンド主義者で。
まいまい@”先生
がんばれ!ハッスル爺!
本当は、強いんですよね。ハッスル爺。
……すぐ来るであろう次に戦う敵に、めげるな!ハッスル爺!
楽しく読ませていただきました。
これからもがんばってくださいね。