表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/81

祝福  (R15)(残)

「おめでとう」

普段無口で、無愛想な糸井先生が笑っていた。

みんなが僕を囲んで、拍手をしていた。

看護婦の白井さんなんて泣いてしまっている。

「君のおかげでたくさんの人が助かる。今までたくさんの試験をよく耐えてくれた。実際つらかったろう?」

糸井先生は僕を覗き込み、肩を抱いた。

「いえ、つらくはありませんでした。僕にできることは限られているので。先生たちに比べれば、全然平気です」

僕の言葉を聞いて、白井さんはまた声を上げて泣き出してしまった。

あまりに泣くものだから、同僚の村田さんに抱きかかえられて、出て行ってしまった。

「まったく白井は情にもろくていかん。職業柄、出会いもあれば、別れもある。当たり前のことだろうに。せめて別れの時ぐらいは、笑って送ろうという気にはなれんものかね」

「でも、白井さんは優しくって僕は好きでした」

「そうか。まあ、個性というものも認めねばいかんのか。私は頑固者だからな。つい文句が出てしまう。気をつけねばいかんな」

糸井先生はうーんと唸って、難しい顔になってしまった。

「それに僕、糸井先生も好きです」

糸井先生は驚いた顔をして、僕を見た。

「そうか?私はてっきり嫌われていると思っていたが」

「そんなことないです。僕はここにいるみんなのこと好きですよ」

「そうか」

糸井先生はにっこり笑って、懐から銃を取り出した。

そして、僕に差し出す。

「どう使うか、知ってるね?」

「はい。僕はこの時のために生まれましたから」

僕は笑顔のまま、こめかみに銃を当てた。

そして、引き金を引く。

僕の脳みそが、部屋中に飛び散った。

僕が倒れると、糸井先生はいつもの無愛想の糸井先生に戻ってしまった。

糸井先生はリストを取り出すと、読み上げるのだった。

「肝臓の方はA棟の四○二号室の患者に。心臓は、C棟の一○三号室の患者に。ああ、それと腎臓については、加藤先生がすぐにでも手術の方にかかりたいと言っていたので、急ぐかどうか確認をとってくれ。加藤先生次第では摘出後すぐに手術を行うかも知れんからな。それとだな・・・」

それから僕の体は、いろいろな部位に切り分けられた。

そして、みんなのもとに行くんだ。


ねえ?僕は役に立ったよね?

午雲先生


うーん、やがてはこうなるかも・・・知れませんね?一種、洗脳?催眠術?某国では人さらいや人身売買も横行し始めて居ると聞きます(金銭になるから)。だれを殺し、だれを生かすか、それを金銭が決める、というのも、皮肉なことというか、非常に恐ろしい気持ちがします。医療、製薬も今や基幹産業にして、壱大産業・・・移植用クローン人間とか・・・うう怖っ!感想でした。


河 美子先生


 ホラーと思って、読んでいくと私のほうがよほど残酷な作品と思い、反省しました。でも、これから臓器移植が簡単に行われると、ここまでいくとは信じたくないけど、意外とあるかもしれないとぞっとしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ