そもそもひも理論とは・・・
「ああ、であるからして、この閉ざされたひもというのは、ブレーン間の移動。
つまり、次元を超えることができるわけだ。
それに引き換え、我々のいるこの開かれたひもの世界は、ブレーンにくっついているわけだ」
教師が黒板に白墨で絵を描き、子供たちに分かりやすく説明している。
ワイワイと落ち着きない子供たち。
「おい、加藤。えらく楽しそうだな」
教室の中の生徒の一人、加藤の動きが教科書で前の生徒を叩こうとして止まる。
「それじゃ、問い一を解いてもらおう」
「えー」
「何だ、解けないのか?無以前の宇宙は存在していたかどうか?その理由もな?」
加藤はいやいやながら答える。
「答えは、まだ出ていません。マイナスの世界がある。反物質の世界がある。何もなかった。いろいろ説はありますが、また確定した説はありません」
「そうだな。まだ確定していない。非常にロマンのあるフレーズだ。君たちが将来大人になった時そのロマンが紐解かれていることを祈ろう」
加藤は前の生徒に文句を言っている。
チャイムが鳴った。
「じゃあ、次の授業は社会だから、国内総生産と国内総幸福量についての日本と他国の違いだから、ちゃんと予習しておくように」
子供たちは先生の話など聞かない。
子供たちはチャイムが鳴ると、すぐにボールを持って校庭に向かった。
今子供たちの間ではドッジボールが流行っている。
子供たちを見守る二つの影があった。
この学校の校長と教頭だった。
「しかし、すごい時代になりましたね」
「そうだな」
「私なんか小学生の時なんか九九が言えなくて泣いていたものです」
「私は読書感想文が苦手だったね。夏休みよく泣かされたよ」
「これからの日本が楽しみですね」
「本当に」
二人は遠い目をしていた。
磯巻 宗春先生
まさか小学生オチとは。
生徒達も確かにすごいかもしれませんが、先生の教えている範囲も尋常じゃないくらい広そうですね。私にはちんぷんかんぷんな授業内容でした。
でも、将来頭のいい子供達ばかりだったら、楽しいかもしれませんね。
次回作も楽しみにしてます。