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ある女性作家の日常

『旦那のところに帰省してくる。憂欝だわ』

と友人からメールが入った。

適当に返信しながら、結婚してない私へのあてつけかと突っ込んでしまう。

だが、私の周りの人間で、結婚している人間の方が多い。

たぶん友人も暗に大丈夫かと心配してくれているのだろう。

一生シングルでも構わないと私は思っているが、どうやら私の考えはマイノリティーらしく、シングルの友人の間でも私は浮いている。

合コンいこう?

お見合いいこう?

はっきり言って、私の性に合わない。

私はタバコに火をつけ、ふかす。

冷蔵庫から良く冷えた酒を取り出し、クッとあおる。

自分でもなんだかオヤジ臭いなと思いながら、パソコンを立ち上げる。

「さて始めますか」

私はお酒の味のする唇をちろりとなめた。

私は活字を使って物語を書いていく。

同じ生みだすなら、ヒトの子よりも私はこちらのほうが性に合っている。

私は子孫を残すという本能に逆らう、反骨の徒である。

とはいっても酒の肴を食べながら言っても説得力がないが。


三十分後、私はスランプになっていた。

アルコールというブースターをつけた私は、ハイテンションで一気に物語を書きすすめていたが、ブースターは上昇するときだけではなく、下降するときにも機能する。

私は一気にローテンション、泥沼の中である。

ずぶずぶという効果音さえ聞こえてきそうである。

よく分からないことをいろいろ考えてしまう。

それから一時間何も進展しないまま、タバコの吸い殻が増え、アルコールが底をつきた。

私は仕方なく近くのコンビニにアルコールを補充に行くことにした。


夏のじめじめした湿気がまとわりつき、気持ち悪い。

多めに買おうかと思ったが、持って帰る時大変なのでやめた。

コンビニで会計をしている時、神が下りて囁いた。

ひらめきとは突然に下りてくるものだ。

私は思わずにやりと笑ってしまった。

コンビニの店員のひきつった顔が滑稽だ。

暑い夏、私はコンビニの店員にささやかな恐怖をプレゼントして、家路を急いだ。


家に着いた私は、とりあえずアルコールでのどを潤した。

私はこの時のために生きている。

「やはりオヤジ臭いな」

私は私を褒めて、喜々としてパソコンの前に立つ。

今回も難産になりそうだ。

和泉ーizumi-先生


初めまして、和泉と申します。作品拝読させていただきました。

さっぱりとまとまってらして、無駄のない作品だと思いました。

一文ごとに切っていく短い文章の方式を取っていることで非常に読みやすかったです。

モノを書く者のニヤッという舞いあがりそうなひらめきを、結婚妊娠とかけ見事に表現してらっしゃると思いました。

次回作も期待しております。以上です。


神村律子先生


何か身につまされるお話でした(笑)


午雲先生


山羊の宮先生、初めまして、午雲と申す者です。ある女性、作品読ませてもらいました。淡々と軽やかに決まってる感じがしました。そして、最後の一行がフフッて感じです。落語と俳句の中間って感じですかネ。おさえた感じが味がありました(笑)。感想以上です。

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