足首の手 (R15)(残)
ベッドで寝ていると、足を引っ張られた。
ぐいぐいと強く引っ張るものだから、せっかく気持ちよく寝ていたのに目が覚めた。
時計を見るとちょうど食事時である。
ベッドの下の彼女が、催促しているのである。
このごろ、彼女に食事を与えるのがおっくうでしょうがなかった。
最初のうちは、何でも喜んで食べたものだが、今では注文が多い。
やれ、肉付きのいい男がいい、若い女がいい、子供がいいなどである。
調達する身にもなってほしいものである。
彼女がぐいぐいと足を引っ張ると、長く鋭くなった爪が食い込んで痛い。
俺はベッドを動かすと、彼女の注文を聞いた。
そこには舞台の奈落のような穴がある。
「・・・欲しい・・・」
「よく聞こえない。ちゃんと喋れ」
しゃがみこんで彼女を見る。
らんらんと輝く彼女の瞳が、闇の中に浮かんだ。
「お前が欲しい」
「プロポーズか?」
グンと体が引っ張られ、俺は奈落に落ちた。
俺は彼女に組み伏せられ、のど元に口づけされた。
ちょうど肉食動物が獲物をしとめるときのように、気道に牙がたてられた。
呼吸が困難になるにつれて、意識が遠のいた。
俺が死んだのを確認して、彼女の食事が始まる。
俺は臓物を食われながら心配していた。
次の彼女の食事はどうしようかと。
桜羽先生
怖かったです...!!
2.3回読み直してしまいました。
物語のはっきりとした
始まりがあれば
もっといいものになったと思います。