カエルのケロ助
カエルのケロ助は、ケロケロ村を出て、旅に出た。
自分探しの旅などとぬかして出てきたが、本当にそうかと聞かれると、あまり自信がない。
ただうまいものを食べたいぐらいのことしか考えてなかったかも。
ある村で黄金のハエがいる村があると聞いたケロ助は、とりあえずその村に行ってみることにした。
道中一匹のカエルを見つけた。
「すみません。ちょっとお尋ねしますが、このあたりでゲロゲロ村という村を知りませんか?」
「ケロケロケロ。ゲロゲロ」
「ああ、どうもすみません。ありがとうございます」
かなりきつい訛りがあったが、発音と表情から推測して、道は正しいようだ。
満月のきれいな夜に、キリギリスが話しかけてきた。
「やあ、私の名前はマルモノ。君の名前は?」
バクッ。
おいしかった。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・
しかし、俺はまた罪もない小さな虫の命を絶ってしまった。
ああ、俺は何のためにそんな事をしてしまったのか?
この目的もない愚かな旅を続けるためか?
ケロ助はふと考えた。
カオスとは何か?
それはものの始まりであり、そして終わりである。
この説が正しいというのならば、今この時点においてもカオスの中にいるのだろうか?
そうなれば秩序などというものが、いかに不確かであいまいなものなのか、痛感させられる。
こういう感情を得るために、俺はあのキリギリスを犠牲にしたのだ。
それが良いことなのかさえ俺には分からないが、それが運命なのだ。
運命とは、秩序的に成り立っているのではなく、カオスによって成り立っているのだ。
だからこそ運命とは、不確かで、時に残酷なのだ。
まあ、なにが起ころうとケロ助の旅は続くのだった。
栖坂月先生
不覚でした。
まさかいきなり食われるとは……。
こう、せめて黄金のハエの情報とかを聞いてからとか、そういう発想がないところが素敵です。
やはり、一発ネタはこうあるべきですね。
また来ます。それでは