表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/81

四方の壁

探偵中野直志は、不覚にも捕らえられてしまった。

薬で眠らされている間に、両手、両足を縛られ、口にさるぐつわをかまされていた。

「ここは・・・」

中野直志は、もうろうとしながらも目覚めた。

周りに人の気配がないのを確認してから、袖からナイフを取り出す。

そして、器用に手首の縄を切り、足の縄とさるぐつわをとった。

「どうしたものか・・・」

捕らえられていた場所は、四方を白い壁に囲まれていた。

天井は高く、とても届きそうにない。

窓や扉もなく、正面の壁には空気穴が小さく開いていた。

そして、部屋の中央に机が一つあった。

机の上には、三つのカギがあった。

それらのカギはそれぞれ独特の形をしていた。

一つは丸い形、一つは三角、一つは四角である。

「カギのようだが、どこかに扉があるのか?」

何処にもそれらしいところはない。

中野直志は懐からリラックスパイポを取り出し、口にくわえた。

彼はいま禁煙中である。

中野直志は、吸い口のプラスチックのところをがりがりと噛みながら、壁を叩いていった。

一様に同じ音がした。

「普通に考えれば、ここだろうな」

彼は空気穴の前にしゃがみこんだ。

覗き込んだ空気穴も変わった形をしていた。

空気穴は六ボウ星の形をしていた。

「変わった形をした空気穴に、それに合うはずのない形をしたカギ・・・」

中野直志はぼんやりと空気穴を眺めながら考えた。

(たばこが千円になるって聞いて禁煙し始めたけど、すぐすぐなるってわけじゃないんだよな。まあ、実際高くなってるっちゃなってるけど。昔はよかったなあ。コーラのむみたいに気軽に買えたのに。今じゃ吸う場所まで考えなきゃいかん世の中だし、せっかくだしこのまま禁煙するか)

彼はよっこらせと掛け声をかけて、立ち上がる。

「一応試してみるか」

中野直志はおもむろに机をつかんだ。

三つのカギがころころと地面に転がっていく。

そして、壁に投げつけた。

壁はバリバリと音を立て破れた。

「空気穴を見て、壁薄いなあと思ったけど。ベニヤ板って。手抜きしすぎだろ」

中野直志は穴をくぐり、外へと出た。

「まあ、犯人は分かってるから。とりあえずとっちめに行くか」

指をぽきぽき鳴らす中野直志だった。

水守中也先生


密室、三つの鍵、六芒星と謎を盛り込み、さらにはたばこネタでハードボイルド風に演出して、ラストのオチは・・・

いい意味で脱力させていただきました。

密室も、中野を眠らせている間に、壁を囲むように作ったのなら、ベニヤでも仕方ないかと(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ