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「というわけで是非このプランに加入してください!」
「え、保険…今更?」
………
いつだって出来事は唐突にやってくる。
最近流行りの帰路からの交通事故。
居眠り運転で赤信号を無視した2tトラックが俺のもとへ突っ込んだ。
現場では即死と判断されていた。
25歳で彼女はいなかったし、親は遠い田舎の実家でよろしくやってるだろう。
ひとり暮らしが板についてきた所だった。
農家を継ぐのが嫌で上京。
バイトしながら大学を通い、近所の会社に入った。
人と喋るのを苦手と感じたことはなく、功を奏してか仕事で営業に回された時もそれなりにやってた。
それがこんなあっさり人生の幕を閉じるとは、運がなかった
…………
「おはようございまーす。おきてください!」
「……。っ、ん。」
「喋れますかぁ?」
「…誰?」
俺の肩に手をあて、左右に揺らしながら話しかけてきたのは女の人だった。
頭に輪っか、背中に羽根
服はOLスーツ……なんでOLスーツ?
しかし誰が見ても天使だ。
「お名前言えますか?」
肩にかかる白い髪、ぱっちりした目。
胸もさほどなく、とても華奢に見える。
「五百旗頭 優也です。」
「アハハ、変な名前ー。」
少し食い気味にばっさり。
見た目とは反対に毒を吐くのかこの子は。
すこし傷ついた。
「ここって天国?」
「そうなりますねー、私が最初に起こしたので担当になるんですけど。」
「担当?なんの。」
「あなたをこれからよりよい生活を送れるように支援します。」
「もしかして異世界転生してってやつ!?」
なにか能力が貰えたりするのかなと胸を踊らせる。
「いえいえ、ここ天界での生活になります。」
そんなことはなかった。
「あーでも魔法は使えたりしますよ。条件付きですけど。」
「本当ですか!?」
「というわけで是非このプランに加入してください!」
なにこれは
「なにこれは。」
心の声がそのまま出た。
本当に意味がわからなかった。
どうみても生命保険とか書いてあるし、理解ができないまま彼女は言う。
「こっちのは必須なんですけどー、あ!こっちとかお得ですよー」
勝手に話を進めないでほしい。
「え、保険…今更?」